2011年3月25日(金)「しんぶん赤旗」

追跡 計画停電

東電、産業用供給が6割

大口の受電制限せず


 日本の電力会社の中で、東京電力は産業・業務用が最も多い電力会社です。東日本大震災後の電力不足対策では、大企業が使用する電力への規制が欠かせません。

 電力会社と電力利用者が結ぶ契約には、大まかに分けて、一般家庭が使う低圧の電灯契約、主に産業・業務向けの電力契約、さらにこれも主に産業・業務向けとなる特定規模需要の3種類があります。

 特定規模需要は、電力小売り自由化の対象となる顧客の需要です。2000年3月から特別高圧で受電する契約電力2000キロワット以上の顧客を対象に実施された契約制度です。その後、しだいに対象が広がり、05年4月以降は高圧以上で受電する契約電力50キロワット以上の顧客が対象です。

 電気事業連合会の統計によると、東電の09年度産業用・業務用販売電力は、電力契約と特定規模需要を合わせて1億8408万メガワット毎時。2番目に多い関西電力のほぼ2倍です。

 うち電力契約は1139万メガワット毎時。特定規模需要は1億7269万メガワット毎時です。

 東電の販売電力全体の中でも、電灯契約が34%であるのに対し、電力契約が4%、特定規模需要が62%と、産業・業務用が3分の2を占めています。

 計画停電は、一般家庭に大きな負担をかけ、医療機関、介護施設など、電気なしでは命にかかわる施設も対象にしています。計画停電を決めたのは東電の清水正孝社長です。清水社長は日本経団連の副会長も務め、財界全体に目配りする立場にあります。

 電気事業法では、国が大口の需要者の受電を制限する「総量規制」が可能ですが、政府と東電は今回、その方法をとらず、地域を決めて一定時間送電を止める方法をとりました。これについて、東電関係者は「総量規制でなく計画停電をしたのは大口顧客である大企業への遠慮があったのではないか」といいます。

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