2011年3月24日(木)「しんぶん赤旗」

福島原発事故 そこが知りたい


Q 放射線と放射能はどう違うの?

 A 放射線は、高いエネルギーを持つ微小な粒子の流れや電磁波のことです。

 ある種の原子核は時間とともに放射線を出して別の状態に変化します。これを崩壊といいます。放射線を出す物質を放射性物質といい、放射性物質が放射線を出す能力が放射能です。

Q 放射線にはどのようなものがあるの?

  主なものにアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線があります。

 アルファ線はヘリウム(原子番号2の元素)の原子核で、透過力が弱く、紙や数センチメートルの空気で遮ることができます。皮膚にアルファ線を受けても体内に入ることはありません。しかし、口などからアルファ線を出す放射性物質が体内に入ると、その周囲の細胞は重大な損傷を受けます。

 べータ線は電子で、厚さ数ミリメートルのアルミニウムで遮ることができます。

 ガンマ線は光や電波のような電磁波の一つで、透過力が強く、遮るには厚い鉛、コンクリートが必要です。

 中性子線は、原子核が核分裂を起こしたときに放出される中性子です。中性子線は透過力が強く、遮るには水やコンクリートの厚い壁が必要です。

図

Q 放射性ヨウ素が野菜から検出されていますが、放射能汚染のニュースに出てくる「核種」って何?

  原子は、原子核とその周囲に存在する電子でできています。核種とは、原子核の種類のことで、原子核を構成する陽子と中性子の数の組み合わせで決まります。

 ヨウ素は、原子番号53(陽子の数が53個)の元素で、70〜78個の中性子をもつ6種類の核種があります。自然界に存在するヨウ素はほぼ100%が安定な核種ヨウ素127。その他は不安定な放射性核種です。今回、検出されているヨウ素131は、ベータ線を出して別の核種に崩壊し、8日で半減します。8週間で128分の1になる計算です。

Q セシウムも検出されていますが?

  セシウム(原子番号55)には、4種類の核種が存在しています。安定な核種はセシウム133。今回、検出された放射性セシウム134、137はベータ線を出して、それぞれ2年、30年で半減します。これらはガンマ線も放射します。

 一方、自然界にほとんど存在しない人工元素プルトニウム(原子番号94)には、8種類の核種があります。原子炉の中でウラン238が中性子を吸収した結果できるプルトニウム239は、アルファ線を出して崩壊し、約2万4000年で半減。ガンマ線も放射します。23日現在、福島第1原発周辺でプルトニウムが検出されたという発表はありません。





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