2011年3月18日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 夜の帰りみち、駅を出ると「計画停電」の最中でした。いつもはこうこうと明るいパチンコ屋もコンビニも、眠っているかのようです▼街の光は、時折行き交う自動車や自転車の明かり、用意のいい人の懐中電灯ぐらい。なによりの助けは、降り注ぐ月明かりです。月の光のありがたみを、ずいぶん長く忘れていました▼帰宅後のロウソク生活は、1時間ほどで終わりました。電気を断たれた被災地の人々の苦難とは比べものになりませんが、電力不足の暮らしは長びくと覚悟しなければなりません。福島第1原発の事故は、テレビの解説者が「大丈夫」と繰り返してきた間に悪化の一途をたどっています▼米スリーマイル原発事故の直前、ある文筆家がアメリカの週刊誌に書きました。“原発は、飛行機でたばこを吸う人の隣の席にすわるより安全だ”。映画「チャイナ・シンドローム」が封切られていました。原発の原子炉の炉心が溶ける危機を描く映画でした▼彼の文章の発表から2日後、現実に事故が発生します。水で冷やせなくなり、炉心の20%が溶けてしまう事故でした。映画の主演俳優ジャック・レモンはかつて、記録映像の語りをつとめ、原発を「毒蛇コブラのぎっしりつまった押し入れ」にたとえていました▼福島第1原発の事故は、自衛隊員や警察官が被ばく覚悟で水を注ぎ込むところまできてしまいました。命がけの人たちの身を案じつつ、二度と人にこんな危険な仕事をさせることがあってはいけない、と念じるばかりです。





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