2011年3月1日(火)「しんぶん赤旗」

TPP 公約違反浮き彫り

「重要品目の関税下げない」と声明で表明

吉井議員の質問 衆院予算委


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(写真)質問する吉井英勝議員(左)=28日、衆院予算委

 菅内閣が推進する環太平洋連携協定(TPP)への参加問題を28日の衆院予算委員会で取り上げた日本共産党の吉井英勝議員。TPPが民主党のかかげる公約にも、食料自給率引き上げ方針にも背くことを浮き彫りにしました。

マニフェスト修正

 吉井議員は「2009年総選挙の民主党マニフェストのどこにTPPが書いてあるか」と切り出し、民主党が「日米FTA(自由貿易協定)を締結する」としていた当初のマニフェストを修正した経過を取り上げました。

 農業関係者の反発を受け、民主党は声明を発表。声明は日本が「最も開かれた農林水産物市場」だとして「米など重要な品目の関税を引き下げ・撤廃するとの考えを採るつもりはない」(図)と表明しました。この声明を発表したのは、ほかならぬ当時、代表代行だった菅直人首相です。

 吉井 今でも、この認識は変わらないのか。

 首相 一般的な意味で貿易自由化は世界でもトップ水準だ。そういった(声明の)姿勢で交渉にのぞむことは変わっていない。

 吉井 声明はマニフェストに匹敵するものだ。今、検討しているTPPとは全く違う。

 吉井氏は、昨年11月に示された政府の「包括的経済連携の基本方針」が「すべての品目を自由化交渉対象とし…」「非関税障壁を撤廃する」としていることをあげ、「民主党の『声明』と整合性があるのか」とただしました。

 首相は「センシティブ(重要)品目に配慮」すると述べるだけでまともに答弁できません。

 吉井氏は「菅さんが代表代行として出した党声明までひっくり返す。言葉を失う事態だ」と述べ、公約を踏みにじる姿勢を厳しく批判しました。

世界の流れに逆行

 世界の食料事情は深刻です。国際連合食糧農業機関(FAO)のジャック・ディウフ事務局長は、「10億人近くの人々が飢えに苦しんでいる」と述べ、「農産物先物市場の自由化によって悪化した投機の問題がある」と指摘しています。

 吉井議員は、投機マネーによって食料品が高騰して世界中の人々がひどい目にあう一方、投機マネーを操った勢力が大もうけしたことを示しました。

 吉井 20カ国の財務大臣・中央銀行総裁会議で、食料問題と投機資金問題が話し合われている。

 野田財務相 ご指摘の通り。1次産品が金融商品化しているのではないかという懸念もあった。

 吉井氏は、「21世紀の世界では食料危機をどう克服していくかが地球的・人類的な課題だ」と述べ、その時に「TPP参加によって日本の食料危機を招いてよいのか」と批判しました。

 吉井氏は、自給率を高め、農業生産に力を入れて余剰分があれば他国への食料支援にまわすことが日本の国際貢献の道ではないかと迫りました。

 首相 自給率を下げていいとか言っているのではない。

 吉井 (TPPで)自給率は13%に低下すると政府が算出している。政府目標の自給率50%とは両立不可能だ。食料増産を求める世界の方向に逆行する。

 吉井氏は、「農業と食の安全だけではない。医薬品の承認、医療、輸入検疫、労働など広い分野で国民の安全を脅かす」とし、「TPP参加も検討もきっぱりやめるべきだ」と訴えました。

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