2011年2月20日(日)「しんぶん赤旗」

小沢元代表処分

民主 喚問拒否し幕引き狙う

先延ばしの末 党内大混乱


 民主党常任幹事会は小沢一郎元代表に対する「党員資格停止処分」を22日にも最終決定する方向です。これに先立ち、党内は親小沢議員による会派「離脱」の動きが出るなど大混乱。それは、小沢氏の国会での説明責任をずるずるとあいまいにしてきた菅政権・民主党の姿勢が招いた当然の帰結といえます。

 菅直人首相は小沢氏処分は「民主党としての一つのけじめだ」などと胸を張り、岡田克也幹事長も処分は「公党としての責任」だと語ります。しかし、小沢氏に国会で説明させるという「公党の責任」については、処分案を決めた役員会や常任幹事会でも議論された形跡さえありません。国会招致をさんざん先延ばしした揚げ句、単なる“党内処分”で幕引きを図ろうというのです。

 小沢氏の「政治とカネ」の疑惑をめぐり、日本共産党は2009年3月以来、同氏の証人喚問を一貫して要求してきました。昨年の通常国会では、当時の鹿野道彦衆院予算委員長が、関係者の証人喚問や参考人招致を「適宜・適切な時に委員長として判断したい」(昨年3月2日)と述べていました。

 数度にわたる与野党の書記局長・幹事長会談や国対委員長会談でも、民主党はその都度「何らかの形での国会説明」の実現のために「今国会中ということについても幹事長の責任で実現に努力したい」(岡田幹事長、昨年11月2日)と表明していたのです。

 岡田幹事長は、「裁判があるから国会における説明は必要ないという考え方には立っていない。政治的な責任もある」(同12月13日の記者会見)とも語っていました。

 ところが民主党は、証人喚問ではなく、出席に強制力のない政治倫理審査会への小沢氏本人の意思による出席に固執したことで行き詰まり、後退に後退を重ねます。

 菅首相は昨年11月から再三「最終的には私が判断する」と表明したものの、臨時国会でも何ら進展せず越年。年頭会見(1月4日)でも「国会できちんと説明を」と繰り返しながら、岡田幹事長と確認していた今通常国会前の「決着」も実現しませんでした。

 結局、小沢氏が国会招致を事実上拒否すると、岡田氏は「議決をしても出てこないので、それはもう意味がない」(1月20日)と述べ、政倫審招致の「覚悟」を取り下げてしまいました。菅首相も16日の参院本会議で、「決断うんぬんの話とは若干性格が違う」、つまり“自分が判断することではない”といいだしたのです。

 相次ぐ公約違反とともに、「政治とカネ」の問題でも無責任な態度をとり続ける限り、国民世論との矛盾の際限なき拡大と党内の混乱のさらなる激化は避けられないでしょう。 (林信誠)





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