2011年2月20日(日)「しんぶん赤旗」

首相退陣論の深層

“新自由主義・忠米の末路”

菅グループ関係者語る


 民主党内で、衆院比例当選議員16人が会派離脱を表明したのに続き、2011年度予算関連法案の成立と引き換えに首相の退陣もやむなしの声が広がりはじめました。これに対し菅首相は、これまで一切否定してきた衆院解散について「国民にとって何が重要、必要かを考えて行動する」とけん制するなど、国民不在の党内抗争の様相を見せています。


 そもそも、これらの動きの背景には何があるのか。

 民主党会派離脱、新会派結成を宣言した16人はいずれも「政治とカネ」の問題で強制起訴された小沢一郎元代表に近い議員です。小沢氏側近の平野貞夫元参院議員によると、小沢氏は離脱の動きに「私が理解しないわけにはいかない。この志を理解して新しい政治をやっていきたい」と述べたとされます。同党執行部による小沢氏の「党員資格停止」処分の動きに対する同氏側の揺さぶりであることは明らかです。民主党が小沢氏の「政治とカネ」の問題にけじめをつけられないできたことが、混迷となってあらわれている形です。

自民に逆戻り

 しかし、問題の根本には、菅政権が自民党政治に逆戻りし、財界・アメリカいいなり政治をすすめ、行き詰まっているという問題があります。

 「騒動のきっかけは小沢・反小沢の争いだが、本質的には菅政権ではダメだということ。はっきり言えばこの政権は小泉・安倍亜流政権だ」

 同党の中堅議員の一人はこう述べます。

 また菅グループの関係者も、「与謝野馨氏を経済財政担当相に入閣させ、元財務相の藤井裕久氏を呼び戻し増税路線を強行するのは自殺行為だ。これだけ支持が低いのは明らかに路線の問題。新自由主義、忠米路線に戻ったからだ」と。

 財界・マスメディアの強力なバックアップを受け、消費税増税、米軍基地強化、環太平洋連携協定(TPP)などを推進し、マニフェストを公然と投げ捨てる姿勢に、国民の不信感は臨界点に達しつつあります。内閣支持率は20%を切り、いっせい地方選を前に各地で候補者の公認辞退、離党の動きが広がっています。

 他方、「マニフェストをまもり、生活重視の『第三の道』をもう一度考えたいが、リーダーがいない。小沢氏の動きに沿うと、『小沢・反小沢』の延長上になって色あせてしまう」(同党中堅議員)というように、菅路線に反対する勢力からも党再生のリーダーシップは見えてきません。

解党へ危機感

 いま、同党内では「解散になれば議席は半減」という「恐怖」に加え、「そのとき民主党は出直せるのか」、「綱領もマニフェストもない状況で組織の統一は維持できない」―。こうした根本的難題に突き当たり、いずれ「解党は必至」という危機感も強まっています。

 結党以来のベテラン秘書の一人は言います。「根本的には、反自民だけを結集軸にして、社民主義的な方向と、それと全く違う新自由主義路線を同時に含むという民主党の歴史的使命は、政権交代が実現した時点で終わった。これからは政策ごとに政党をつくるしかない。『二大政党』もコトバだけで意味がない」 (中祖寅一)





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