2011年2月18日(金)「しんぶん赤旗」

小沢グループ議員の「会派離脱」

民主党が抱える二つの矛盾を反映


 渡辺浩一郎氏ら民主党衆院議員16人が民主党会派からの「離脱」宣言をしたことは、民主党が部分的にせよ崩れ始めたことを示しています。

 ここには、民主党が抱える二つの矛盾が反映しています。一つは、公約違反を繰り返し国民を裏切ったことによる矛盾です。

 菅政権は、同党が曲がりなりにも掲げていた「国民の生活が第一」から、「米国・財界第一」へと百八十度転換し、消費税増税と法人税減税、環太平洋連携協定(TPP)推進など完全に「自民党化」しています。この日発表された内閣支持率は二割を切り、政権交代後最低を記録。国民との矛盾が抜き差しならなくなっています。

 渡辺氏らも、「国民の生活が第一」の政策の実行を目指すことを“反旗”の大義に掲げています。

 もう一つの矛盾は、民主党が小沢一郎元代表の「政治とカネ」の問題で、けじめをつけられないことからくる党内矛盾です。渡辺氏が同日の会見で、小沢一郎元代表を「大変尊敬している」と語ったように、「離脱」メンバーの多くは“親小沢”の議員たちでもあります。

 会長の渡辺氏と会長代行の豊田潤多郎氏は、新進党、自由党時代から小沢氏と行動をともにし、現在は小沢“親衛隊”とも呼ばれる「一新会」のメンバー。民主党執行部が小沢氏の「党員資格停止」処分を基本決定した直後に「離脱」宣言を行ったというタイミングをみても、執行部に処分撤回の揺さぶりをかける目的があることは明白です。

 宣言が「民主党に対する信頼が地に落ちた今となっても民主党を捨てるつもりはない」とし、離党を明確に否定していることも、どこまで本気で「国民の生活が第一」の政策を目指そうとしているのか疑わせるものです。

 今回の会派「離脱」の動きのなかで、民主党内から菅首相の辞任を求める声があがっているように、菅政権の出方次第では新たな展開を見せる可能性は否定できません。原口一博前総務相が大阪の橋下知事、名古屋の河村市長らの地域新党との連携を探る策動もあります。

 しかし、米国・財界いいなりの政治のなかの離合集散に未来がないことも明らかです。 (林信誠)





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