2011年2月13日(日)「しんぶん赤旗」

国会序盤記者座談会

政府・民主 消費増税へ暴走

自民 悪政を競い合い

日本共産党“土俵”の転換求める


 1月24日に召集された通常国会では現在、衆院予算委員会での審議がつづいています。序盤の政治状況について担当記者で話し合いました。


  この間の政治の動きの最大の特徴は、政府・民主党の「自民党化」が極限まで達したことにあるのではないか。

  その象徴が、消費税増税だ。菅直人首相は、国会審議で「税と社会保障の一体改革」を繰り返しているが、与謝野馨経済財政相を責任者に、「集中検討会議」も立ち上げて具体的な法案づくりに入っている。

  一昨年の総選挙では、当時の鳩山由紀夫代表が「次の総選挙まで消費税の議論の必要はない」といっていたのだから、これ以上の公約違反はない。民主党の元政策担当者が「官邸はまったく話を聞かなくなった」といっていたが、まさに暴走というほかない。

変節ぶり如実

  政府の「集中検討会議」とは別に、民主党内でも同じテーマで議論が始まっているが、先週、まっさきに経済同友会から意見を聞き、今週は日本経団連からも意見聴取する予定だ。「国民生活が第一」から「財界の利益が第一」への変節ぶりが如実に表れている。

  しかし、政府・民主党が変節と暴走をすればするほど、国民との矛盾は深まらざるを得ない。今月に入っての世論調査では内閣支持率は20%前後に落ち込んでいる。

  6日投票の愛知県知事選、名古屋市長選で民主候補は惨敗した。同県では前回総選挙で民主が15選挙区で“完勝”したが、今回はある国会議員が「支持を訴えても有権者がまったく話を聞いてくれなかった」と嘆いていた。

  民主党の応援団からも批判続出だ。連合の古賀伸明会長は選挙結果について「政権、政府にたいする批判や否定という意味が大きい」と言った。さらに、“後見人”の稲盛和夫日本航空会長も日本記者クラブでの講演(8日)で「現在の体たらくは、こういうことで私は支援をしたつもりではなかったので大変落胆している」と語った。

  稲盛氏については、冷酷に社員を解雇しておいてよく言うよといいたいが、それだけ民主党の現状がひどいということではないか。

  党内も迷走・混迷の度を深めている。年金問題で、桜井充財務副大臣が「(総選挙)マニフェストに相当な批判があるが、あれは当時、ごく一部の方々が中心となり、われわれは情報をほとんど与えられないまま議論が進んだ」と言い訳するに及んでは、開いた口がふさがらない。

  小沢一郎元代表の「政治とカネ」問題では、菅首相が10日、同氏と会談した。しかし、社民党以外の野党が一致して求めている証人喚問の話はせず、「裁判が終わるまで離党してくれないか」というものだった。一時的な「離党」でやりすごそうとするもので、あからさまな真相究明の幕引きだ。

時期だけ違う

  政策的にも組織的にもボロボロになりながらも、民主の暴走が止まらない一因に、最大野党の自民党が同じ土俵で悪政を競い合っていることがある。

  それを典型的に示したのが、9日の菅首相と谷垣禎一自民党総裁との党首討論だった。2011年度中に増税法案を成立させ、国民の信を問うという首相に対し、谷垣総裁は、総選挙をやってから増税法案をつくれと言うだけだった。増税の立場は一緒で、違うのは選挙をやる時期だけだ。

  安保・外交でもそれは明白だ。自民の小池百合子総務会長は代表質問で、11年度予算案でわずかだが軍事費が減っていることについて、「国防の手段を確保し必要な防衛関係予算を増額すべきだ」と迫り、武器輸出三原則の見直しも求めた。

  ある自民党関係者は「共産党はよく、『民主党が自民党と同じになった』というが、あれはきつい」と語った。総選挙で惨敗しながら、何の反省もせず、ボロボロになった民主党を側面支援する自民党に、政治を変えたいという国民の願いを託せないのは明らかだ。

展望指し示す

  そのような状況のなかで、日本共産党の論戦は政治の問題点を正面から批判し、転換の方向、展望を指し示している。本会議でも予算委員会でも、他党席から「そうだ」「その通り」の声がこれだけ上がる国会もめずらしい。

  いま、環太平洋連携協定(TPP)参加問題が焦点のひとつになっているが、代表質問でも、予算委員会でも、農家、国民の立場から問題点をただし、参加中止を迫っているのは共産党だけだ。その役割は、本音は農業自由化大賛成なのに、いっせい地方選を意識して正式な方針を決められない自民党と比べるとより鮮明になる。

  志位和夫委員長は9日の会見で、民主と自民が同じ土俵の上で小競り合いを演じているとし、「私たちは、土俵そのものの転換を求めて、たたかいでも論戦でも真っ向から立ち向かっていきたい」と述べた。まさに頑張り時の情勢だ。





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