2011年2月7日(月)「しんぶん赤旗」

糖尿・高血圧の薬無料

ブラジル新政権、実現

貧困層に恩恵

製薬会社が協力


 【メキシコ市=菅原啓】ブラジルのルセフ政権は3日、糖尿病と高血圧の治療薬を無料とする施策を今月14日から開始すると発表しました。これはルセフ大統領が昨年の選挙で公約していたもの。ルセフ氏は発表にあたって、就任(1月1日)から「1カ月で公約を達成できた」と報告しました。

 同国では、ルラ前政権が2004年に、貧困層向けに薬品を安価で提供する「国民薬局」プログラムを開始。ぜんそく、骨粗しょう症、緑内障など特定の病気の患者に対して、治療薬を無料あるいは9割引きの価格で提供してきました。

 政府統計によると、ブラジルにおける糖尿病と高血圧の患者数はそれぞれ3300万人、750万人と推定されています。2009年には、死亡原因の34%がこの二つの疾病でした。

 ルセフ大統領は、家計支出に薬代の占める割合が富裕層で2%なのに対し、最貧困層では12%となっているとのデータも明らかにし、今回の施策が貧困削減という政権の重点課題の一環であると説明しました。

 新しいプログラムでは、公立病院の処方せんと身分証明書などを提示すれば、富裕層も含めだれでも全国1万5000の薬局で必要な薬を無料で入手することができます。

 しかし、実際には富裕層や中所得層は、民間病院での診察を望む傾向にあるため、新しいプログラムの恩恵を受けるのは、主に公立病院を利用する貧困層の患者約96万人とみられています。

 無料の薬品提供プログラムを拡大することには、財政負担の増大を懸念する声もあります。これに対し3日、記者会見したパディリャ保健相は、政府が製薬会社と交渉し、会社側が利益の一部を削って無料で薬品を提供することに合意していると説明。追加的な支出は「一切かからない」と強調しました。





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