2011年1月13日(木)「しんぶん赤旗」

ハイチ大地震1年

滞る援助 進まぬ復興

がれき撤去5% 避難所建設15%


 【メキシコ市=菅原啓】昨年1月12日の大地震から1周年を迎えるカリブ海のハイチで11日、約30万人の犠牲者を追悼し、国際社会に復興へのさらなる支援を呼びかける記念行事が始まりました。

 首都ポルトープランス郊外にある共同墓地で行われた追悼式には、プレバル大統領夫妻らが出席し献花。数万人の犠牲者が葬られ、黒い十字架が立ち並ぶ中で、同大統領は、「みなさんのことを私たちは決して忘れない」と語り、復興への決意を表明しました。

 12日には、地震で倒壊した大聖堂跡地で野外ミサが催され、地震発生時の午後4時53分には全国一斉に黙とうします。

 地震発生直後には、世界各国から多くの支援が寄せられましたが、援助額は減少し、被災者救済や復興事業は期待通りに進んでいません。

 途上国支援を進める国際非政府組織(NGO)のオックスファムが発表した報告書によると、倒壊家屋のがれき撤去は5%、避難所建設も必要数の15%しか完了していません。

 国際社会は1年間で総額21億ドルの援助を約束しましたが、昨年末までにハイチ側に渡されたのは42%にとどまっています。オックスファムは、国際社会の努力が不十分と批判しています。

 国際機関や各国政府が援助をしぶる背景には、ハイチの政情不安があるとの指摘があります。昨年11月末に実施された大統領選では、プレバル大統領の推す候補が野党候補に大きく引き離され大苦戦。選管発表によると、与党候補は第2位となったものの、不正選挙を批判する野党勢力の抗議行動が暴力的な騒乱にまで発展。プレバル政権は今月16日に予定されていた決選投票の延期を決断せざるをえない状況となっています。選挙をめぐる政治的混乱は、震災からの復興にも大きな影を落としています。





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