2011年1月12日(水)「しんぶん赤旗」

B型肝炎和解案 解決の糸口見えてきた

「一定の評価できる」

東京訴訟原告 未発症救済は歓迎


 B型肝炎訴訟の和解協議で札幌地裁が11日、和解のための所見を示したことを受けて、全国B型肝炎訴訟の東京訴訟原告団・弁護団は同日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見しました。原告らは所見について「一定の評価はできる」と述べるとともに、国に対し救済のために積極的対応を放棄してきた姿勢を改めて早期全面解決に踏み出すよう求めました。


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(写真)記者会見する原告の(左から)石川冬美さん、田中義信さんと弁護団=11日、東京・霞が関

 東京訴訟原告団副代表の石川冬美さん(32)は「和解金額については、薬害C型肝炎の金額と違いがあるが、(未発症の)キャリアーを切り捨てなかったことで安どしています」と述べました。その上で「国の責任は最高裁判決で確定しており、こんなに時間がかかることではありません。速やかに解決すべきことで、菅首相は本当の政治決断をしてほしい」と訴えました。

 原告の田中義信さん(52)は「うれしさは半ばです」と話しながらも「福寿草が芽を出し『もうすぐ春だよ』と伝えているようです。解決の糸口が見えてきました」と声をつまらせました。

 所見について、田中さんは「キャリアーの救済は歓迎します。金額については薬害肝炎訴訟と大きく隔たりがあり、原告団で話し合いが必要だ」と話しました。

全国原告団 弁護団が声明

 全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団は11日、札幌地裁が出した和解のための所見について「十分とは言えないが一定の評価はできる」とする声明を出しました。

 声明は、未発症のキャリアーに対する救済内容について「十分なものとは言えない」としながらも、「今後仮に発症した場合の救済が確保されているうえ、若干の和解金と検査ごとの交通費などを加算し、その実効性を担保しようとしていることを勘案すると一定の評価はできる」と述べています。

 さらに「母子手帳や接種台帳や接種痕がない被害者についても救済の道が開かれたことからすると、被害者全員救済につながるものと評価できる」としています。

首相まず謝罪を 大阪訴訟原告団

 大阪原告団は11日夜、大阪地裁で、共同代表の久永信行さん(43)や副代表の小池真紀子さん(58)らが記者会見しました。

 小池さんは「国から裏切られ続けてきたが、解決への光が見えてきた。何よりも早く菅首相に正式に謝罪してほしい」と涙ぐみました。

 久永さんは、B型肝炎患者への「差別や偏見がなくなるように」と、病気の正しい情報を政府がきちんと国民に説明するよう求めました。





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