2011年1月10日(月)「しんぶん赤旗」

水俣病症状 救済外年齢にも

研究集会で発表


 水俣病特別措置法による救済対象者以外にも、水俣病の症状がでていることが診察結果からわかりました。8日、熊本県水俣市で開かれた水俣病事件研究交流集会で、水俣協立病院の藤野糺(ただし)名誉院長が発表しました。

 救済対象は1969年11月までの出生者となっており、被害者からは不当な線引きを批判する声があがっています。

 藤野氏は、こむらがえり(足がつる)などの自覚症状を抱え、自分も水俣病ではないかと同病院に訪れた外来患者117人の診察結果(2005〜10年)を分析。原因企業のチッソが廃水を停止した68年5月から69年11月の出生者54人をA群、69年12月以降の出生者63人をB群としました。

 手足の先にいくほど触覚、痛覚などの感覚障害がひどい例は、A群で78%にみられ、B群の60%を上回りました。一方、全身性の感覚障害はA群が22%でB群が24%、口周囲にいたってはA群が15%で、B群が33%となっています。A群とB群の際立って顕著な症状分布の差はみられず、B群の被害者を排除する救済策の欠陥が医学的にも浮き彫りになりました。

 藤野氏は、感覚障害が認められた例に80年代生まれの人もいたことにふれ、「水銀汚染がいつまで続いたのか明らかにするためには、(水銀汚染が広がった不知火海沿岸の)住民健康調査は避けられない」と話しました。

 同集会は熊本学園大学などの水俣病研究者を中心に毎年おこなわれ、今回は水俣病裁判関係者や市民、学生約100人が参加しました。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp