2011年1月10日(月)「しんぶん赤旗」

米州機構が授権法批判

ベネズエラ政府は反発


 【メキシコ市=菅原啓】米州機構(OAS)のインスルサ事務総長は7日、ベネズエラ国会が昨年末承認した大統領授権法はOASの民主主義憲章に違反すると批判しました。この発言に対し、ベネズエラのチャベス政権は内政干渉として強く反発しています。

 授権法は、憲法に基づくもので、国会審議を通さず新たな法律を制定する権限を大統領に付与します。

 チャベス大統領は、国土の4割が被災した未曽有の洪水被害への対処、復興のためとして授権法承認を国会に申請。国会は昨年12月、18カ月間の期限を付けて授権法案を可決しました。

 ベネズエラでは、昨年9月の選挙で当選した議員で構成する新国会が5日に開会。野党勢力は新国会の議席の約4割を占めますが、授権法を可決した旧国会は9割近くを与党勢力が占めていました。このため、野党議員は授権法の撤回を要求しています。

 インスルサ事務総長もこの点を問題視し、旧国会が新国会の「権限を18カ月間制限することになる」「民主主義国家では通用しない」と指摘。自らの権限で、ベネズエラの内政問題をOASの議題として取り上げる考えを示唆しました。

 一方、ベネズエラ外務省は7日夜、インスルサ氏の言明を「新たな干渉行為」と非難する声明を発表。同氏の発言がバレンスエラ米国務次官補による批判と似ているとし、「侵略計画を押し付ける国務省の総監領(植民地を支配する現地代表)としてOASが活動することをベネズエラは許さない」と述べています。

 ベネズエラでは、ペレス政権時(1974年)にも国会が授権法を承認した例が何度かあります。チャベス政権下では4回目。

 インスルサ氏によると、OAS加盟国からはベネズエラの民主主義の状況について議論すべきだという提案は出ていません。英BBC放送は7日、同氏の発言をOASの対ベネズエラ政策の戦略変更の一環かもしれないとするOAS関係者の見方を紹介しました。





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