2011年1月10日(月)「しんぶん赤旗」

ソウル市議会 条例を公布

小・年内から、中・12年に

学校給食を無償化

「無効」市は提訴の構え


 韓国ソウル市議会は6日、小・中・高校の学校給食を無償化する条例を公布しました。これにより、私立を除くソウル市内の小学校592校で学校給食が段階的に無償化されます。2012年からは、中学校でも無償化が始まります。


 韓国では、「学生の心身の健全な発達」「国民の食生活の改善」を目的として、小学生〜高校生の743万人に対し、学校給食を実施。韓国メディアによると、学校給食の実施に必要となる費用は、年間4兆3751億ウォン(08年度。約3240億円)です。その67%にあたる2兆9312億ウォン(約2170億円)は、保護者が負担しています(ソウル新聞 10年3月22日付)。そのため、各学校では、1食あたり2500ウォン(約185円)前後を給食費として徴収。年間の負担額は、40万〜50万ウォンになるといいます。

 昨年6月の地方選挙で、学校給食の全面無償化を掲げる野党系の候補者が、教育行政を所管する教育長に多数当選したことから、給食無償化が全国的に広がっています。

 無償化推進派が多数を占めるソウル市議会は昨年末、給食無償化条例案を可決。しかし、呉世勲(オ・セフン)市長は「富裕家庭の分まで無料にするのは、福祉の理念に反する」として条例に反対を表明。保守派の市民団体も、「“無償給食”ではなく、納税者が支払う“税金給食”だ」として反対運動を展開していました。

 呉市長が、条例の公布を法定期限の1月4日まで拒否したため、市議会の許光泰(ホ・グァンテ)議長が6日、職権で条例を公布しました。

 市議会は、市長が提案した航路整備事業などを全額削除し、小学校給食の無償化を実施するための費用を新たに計上した来年度予算案も可決しています。

 ソウル市は、条例は無効だと主張。最高裁判所に提訴する構えを見せており、無償化がいつから実施されるかは不透明です。





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