2011年1月8日(土)「しんぶん赤旗」

薬害イレッサ 和解勧告

2地裁 「国・企業に救済責任」


 「副作用が少なく夢の新薬」などと宣伝して819人(2010年9月末現在)の死亡者を出した肺がん治療の抗がん剤「イレッサ」の被害者らが、薬を承認した国と輸入販売元のアストラゼネカ社(大阪市)に損害賠償を求めた薬害イレッサ訴訟で、東京、大阪両地裁は7日、「早期に公平かつ全面的に解決するには、和解によるのが望ましい」と和解勧告をしました。

 裁判所は、和解の枠組みとして、国とアストラゼネカ社に「和解金を支払うこと」「原告と誠実に協議する」ことを求めています。原告団・弁護団が東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見して明らかにしました。

 和解勧告の所見は、アストラゼネカ社と国は「2002年10月15日までにイレッサを投与され、その副作用として間質性肺炎を発症した患者らの救済を図るべき責任がある」として、国と同社の救済責任を指摘しています。

 原告団代表の近澤昭雄さん(67)は「提訴(2004年11月)から6年間訴え続けてきてすごくホッとしています。被告は和解勧告を受けてほしい。がん患者の救済制度の創設も含めて実現してほしい」とのべました。


 薬害イレッサ訴訟 2004年7月、京都府在住の71歳の男性遺族が大阪地裁に、同年11月、さいたま市の近澤昭雄さんが東京地裁に提訴しました。イレッサは、2002年7月、世界に先駆けて、申請から承認までわずか5カ月という異例のスピードで承認されました。承認から半年で180人、2年半で557人が重篤な副作用、間質性肺炎などで死亡しました。





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