2010年12月30日(木)「しんぶん赤旗」

予算の3割 社会福祉に

今年度比17%増

地方の貧困、第一に考慮

フィリピン


 【ハノイ=面川誠】フィリピン政府は来年度予算で、社会福祉・公共サービス関連予算を今年度より16・8%増やします。これにより社会福祉予算は全体の3割を占めます。アキノ大統領は「貧困対策と経済成長促進を優先課題にした」としています。

 大統領が27日に署名した予算は、総額1兆6450億ペソ(約3兆円)。210億ペソ(約390億円)を生活支援に当て、貧困世帯への「条件付現金給付(CCT)」を大幅に増やすといいます。

 CCTは、保護者が児童を通学させたり健康プログラムに参加させたりすることを条件に、現金を給付する制度。フィリピン政府は、多くの発展途上国でこの制度の成果が確認されており、未就学児童や健康を害した児童の減少に寄与するとしています。

 野党は「貧困層の援助依存を助長する」と批判しましたが、大統領は「最貧困層の困難を緩和することに焦点を当てた。貧困層の減少は経済の活性化にもつながる」と強調しました。

 アバド予算管理相は27日の記者会見で、予算の34・1%が社会福祉・公共サービス関連に使われることについて、「特に地方の貧困世帯を第一に考慮した予算」だと説明。汚職とのたたかいという観点からも、予算執行の透明性を確保することに力を入れると語りました。

 この他、大学関連予算や地方自治体への支援を大幅に強化したとしています。

 市民団体からは、貧困対策の強化を評価する一方で、「予算の年内成立を優先するあまり、具体性に欠ける」との指摘が出ています。

 アバド氏は「非効率で無駄な事業については減らし、効果の高い事業を拡大する。それが貧困対策の成否にかかわると認識している」と述べました。





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