2010年12月24日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 ことしの紅葉は色鮮やかでした。だからでしょうか。いま残る冬紅葉も、師走の街に優美な彩りをそえています▼遠くから眺めると、冬枯れのケヤキやナラの枝の色と溶け合って、パステル画のように柔らかい色合い。近づいて見る。澄んだ青空やカシの葉の深い緑を背景にして、紅葉のあでやかさが引き立ちます▼想像してみます。昔の東京や近郊の冬紅葉は、さぞ見事に映えたことだろう、と。たとえば、日本共産党本部の最寄り駅、代々木駅の周り。明治時代の終わりごろ陸軍の練兵場ができるまで、雑木林が広がっていた、といいます▼しかし、都市化の波は外へ外へとおよんでゆきました。やがて、乱開発への反省から自然と調和する街づくりが唱えられます。内務次官などをつとめた飯沼一省は、1933年に次のように書きました▼原野を荒らし、高いコンクリートの建物を並べるのが文明なのか。都市に生活する住民にこそ、緑と自然が求められる。「限りなく建物の立ち並ぶことは決して都市の繁栄を物語るものにあらずして、都市の堕落」だ…。1939年には、「東京緑地計画」もできます。しかし戦後、緑地計画は見捨てられてきました▼飯沼一省のことは、東京・杉並区の「三井グランドと森を守る会」の人に教わりました。「会」は、緑地計画の一部だった広大なグラウンドに三井不動産がマンションなどを建てる計画に反対し、一帯の自然を未来に残す運動を続けています。「武蔵野の櫟(くぬぎ)もみぢは冬も濃し」(高浜年尾)





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