2010年12月16日(木)「しんぶん赤旗」

心一つに勝ち取った

有明訴訟 国が上告断念

「宝の海」 ふたたび


写真

(写真)「よみがえれ!有明海訴訟」の支援者らとともに勝利を喜ぶ(左から)穀田恵二(2人目)、赤嶺政賢(3人目)の両衆院議員=15日、東京・霞が関

 「みなさん、よかったですね」―。「よみがえれ!有明訴訟」を支援する全国の会の岩井三樹事務局長がしみじみと述べた一言には、こみあげる思いが凝縮されていました。開門を命じた福岡高裁判決にたいして菅直人首相が上告断念を表明した15日、東京都霞が関の農林水産省前での座り込み参加者にも歓喜が訪れました。

 上告断念を求め、原告、弁護団、支援者らが座り込みを始めて3日目。開始から2時間半が過ぎたころ、上告断念の一報がもたらされます。「よしっ」と歓声が上がり、すがすがしい笑顔が周囲へ広がりました。

 日本共産党の穀田恵二、赤嶺政賢の両衆院議員と、弁護団の一人でもある仁比聡平前参院議員が祝福に駆けつけました。

 支援者らと手を取り合って喜びを分かち合い、仁比氏は「心を一つにして勝ち取った歴史的な一歩だと確信しています」と話しました。

 穀田氏は「宝の海を取り戻そうと力を一つに、原告、弁護団、それを支えた多くのみなさんのたたかいが実ったことに心からお祝い申し上げます」と述べました。

 今後に向けて赤嶺氏は「活気ある有明海を取り戻す大きな仕事が待っています。未来を切り開くたたかいを一緒に進めていきましょう」と呼びかけました。

 有明海漁民・市民ネットワークの羽生洋三さんは「これまで血のにじむような思いで漁業を守ってきた漁民にとって、早期開門は死活問題です。漁業だけでなく農業も両立する有明海再生のために、建設的な開門協議を引き続き求めていく」と決意を語りました。

裁判「終止符」再生これから

 「『よみがえれ!有明訴訟』を支援する全国の会」の岩井三樹事務局長の話 長い、長い裁判のたたかいに「終止符」が打たれました。しかし有明海再生はこれからです。漁民、農民、干拓地の後背地に暮らす住民のみんなでより良い開門方法を探っていきたい。

営農も漁業も成り立つ再生へ

一歩ふみだすとき

訴訟弁護団・前参院議員 仁比聡平

 日本共産党は、国政でも地方政治においても一貫して営農も漁業も成り立つ有明海再生を求めてきた党として、菅総理の福岡高裁判決への上告断念を歓迎するものです。開門にむけた準備に早急に着手し、営農者から出されている不安を解消することこそ国と関係自治体の責任です。いまこそ心をひとつに再生の具体的一歩をふみだすときです。

 2002年春の短期開門調査は開門すれば有明海はよみがえることを示しました。原告団・弁護団が提案してきたのは、この短期開門調査レベルの開門から始める「段階的開門」です。潮受け堤防内の調整池の深刻な水質汚濁は海水導入によって劇的に改善されます。

 干拓地の農業用水について、国は中海干拓でも活用されている簡易ため池などの「代替水源の確保」にすみやかに着手すべきです。取水実績は約23万立方メートル(08年4月から12月)で十分可能です。農業用水にふさわしくない塩害や、汚濁水の悪臭も解決されます。

 一方、農水省の言い分に反して潮受け堤防閉め切り後もくり返されてきたのが後背干拓地の湛水(たんすい)被害です。私も国会でとりあげてきましたが、元来排水が不良な低平地では排水路や樋門(ひもん)、排水機場の整備こそ必要です。佐賀や福岡の地先干拓地では当然なされてきたのに、諫早干拓では「潮受け堤防ありき」で背を向けてきた国の姿勢を改め、地元の要望をすぐに具体化すべきです。高潮時の防災機能は開門しても必要時に閉じることで確保でき、操作方法の権威ある研究もなされています。

 上告断念を受けて、原告団・弁護団の参加する開門協議会をすみやかに設け、開門方法や時期の検討を急ぐべきです。 





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