2010年11月2日(火)「しんぶん赤旗」
“管制官の有罪は誤り”
日航ニアミス 判決に労組ら抗議
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2001年に起きた日航907便のニアミス事故で、最高裁が2人の地上管制官に10月26日付で有罪判決を下したことに、全運輸労働組合(熊谷俊介委員長)と、航空安全推進連絡会議(酒井孝信議長)、日本乗員組合連絡会議(山ア秀樹議長)、航空労組連絡会(近村一也議長)ら航空3団体が1日、東京都千代田区で抗議の記者会見をしました。
出席者は、事故が多くの事象が複雑に絡み合って発生した「システム性事故」だと指摘。管制官が便名を単純に言い間違えたから起きたものではなく、管制官が衝突防止装置の回避指示を予見できるものでもなかったとしています。
「最高裁はまったくこれらの事実誤認をしている。これが司法の判断根拠となるのは大きな影響がある」(航空安全会議)「航空の現場に混乱をもたらす」(航空連)と問題点を語ります。
事故調査のあり方について国際民間航空条約第13付属書は「事故調査の唯一の目的は、将来の事故防止であり、罪や責任を課するのが目的でない」としています。
日乗連の高本孝一テクニカルアドバイザーは「事故は安全性を改善するきっかけとみるのが世界的な主流。悪意のないエラーを処罰の対象にするのは心に大きな不安をもたらす」と発言しました。
日本では警察捜査が事故調査に優先され、事故調査での黙秘権も保証されていません。
「あのような判決がとおると、管制官は若干の技量の違いによって刑事訴追されることもある」(全運輸)と不安が語られました。