2010年11月1日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」での笠井政策副委員長の発言


 日本共産党の笠井亮政策副委員長が31日のNHK「日曜討論」で表明した発言の詳報は次のとおりです。


補正予算―内需を温める方向へ転換を

 10月29日に提出した補正予算案について、民主党の直嶋正行・成長戦略経済対策プロジェクトチーム座長は第2弾の経済対策だと説明しました。各党は「対応が遅すぎる」(自民党・林芳正政務調査会長代理)、「内容は評価できる」(社民党・阿部知子政策審議会長)と発言。みんなの党の浅尾慶一郎政策調査会長は「投資減税」を求めました。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 二つ問題があると思います。

 一つは、ワクチンの公的な接種など国民の要求を一定反映した面はあるが、全体として従来の自民・公明政権時代の政策の延長になっています。今日の深刻な国民の暮らしを改善して景気を温めるものになっていない。

 もう一つは、円高・デフレ対応で緊急総合対策の第2弾だという話ですが、新たな前向きな内容がほとんどない。深刻な非正規雇用を正規化する問題や、最低賃金の大幅な引き上げなど、大企業の巨額な内部留保を国民経済に還流させる政策がありません。米価暴落で過剰米40万トンの緊急買い上げが必要ですが、それもやらない。いまこそ、家計や内需を土台から温める方向に転換しなければいけないと思います。

政治とカネ―与党は対応示し徹底審議を

 強制起訴されることになった民主党の小沢一郎元代表の証人喚問や、資金管理団体の偽装献金事件で鳩山由紀夫前首相が「資料は東京地検に提出しており手元にない」と説明しながら資料のコピーが保存されていたと報じられた問題が議論になりました。

 衆院本会議での審議入りについて与党側が議運委員長の職権で決めたことに、自民・公明両党が抗議。民主・直嶋氏は「熟議の国会」といいつつ、「国民生活を考えると早く審議に入るべきだ」と主張しました。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 小沢さんの証人喚問は必要です。政治的・道義的責任をきちんと国会でただすべきだと思います。

 鳩山さんの問題も含めて(野党側は)「政治とカネ」をめぐる民主党の対応をちゃんと示せといってきた。ところが示さない。岡田さんも30日に、“(小沢氏に)会いたいけど会えない異常事態だ”といったが、嘆いているのではなくて、党として(対応を)決めて示すべきです。

 それもしないで審議入りは決めてしまう。「熟議」といいながら、予算委員会の審議も補正予算は1日でやるというのが民主党の提案です。これではちゃんとした審議ができない、でたらめで許せないという問題になってくる。暮らしと経済が大変なときだからこそ、喚問の問題をはじめとして、きちっと民主党、与党の対応を示して、徹底的な審議に入るというのが当然だと思います。

 民主・直嶋氏は対応に「まだ少し時間がかかる」と述べました。

空前のためこみ金を循環させる必要

 補正予算案の議論に戻り、自民・林氏は消費税増税をめざす財政健全化責任法案(自民党提案)の推進を求め、公明党の石井啓一政務調査会長も「財政健全化」を強調。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 (補正予算案に)われわれは反対です。

 いまの経済危機の問題では、日銀の白川(方明)総裁も言われていますが、大企業が空前の金余りで使い道に困っている状況があり、一方では賃金がどんどん下がる。(大企業の)内部留保はこの1年間で11兆円も増えて244兆円になった。

 そういうお金が循環する経済の仕組みに変えなければいけないのに、ため込み金が詰まってしまって、めぐっていないということが最大の問題です。そこをきちっとやらなければだめです。つまり、内需を拡大するために賃金を上げる、労働者派遣法を抜本改正する、社会保障を充実する、こういうことをやる必要があります。

 先ほど小沢さんの問題は時間がかかると言われました。しかし私は、民主党はこの問題の重大性がわかっていないと思うんですよ。(「政治とカネ」が)問題になっているときに(民主党が)企業・団体献金の受け取りを再開するという問題も含めて、「政治とカネ」の問題の深刻さがわかっていない。時間がかかるんじゃなくて、すぐに結論を出して党として対応を決めるべきだということを合わせて言いたい。

TPPは農業・地域破壊協定

 菅直人首相が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を検討すると突然表明したことが議論になりました。民主・直嶋氏は「来週中ぐらいには内閣も含めて方向付けをする必要がある」と表明。自民・林氏は「農業を強くして、農業をやっている方が『ぜひ自由貿易を進めよう』となるようにしなければいけない」。公明・石井氏は「拙速」としつつ「自由貿易は進めなければいけない」。みんな・浅尾氏は「(TPPに)参加すべきだ」。たちあがれ日本の園田博之幹事長は「進めざるをえない」と述べました。

 国民新党の亀井亜紀子政務調査会長は食料の安全保障が犠牲になるとして「反対」。阿部知子・社民党政策審議会長も「国益を損なう」。笠井氏は次のように述べました。

 笠井 われわれは反対です。この協定に入っていくとどうなるか。食料・農業が破壊されるという話がありましたが、これは本当に深刻な問題です。同時に地域経済全体も破壊することになる。政府の試算でも、TPP不参加による雇用減は81万2千人。逆にTPP参加によってその4倍以上の340万人の雇用が失われると出ています。

 北海道庁も道の経済の損失額を出し、単年度で2・1兆円。そのうち1・5兆円は食品加工業など農業関連産業と地域経済です。地域経済だけでも1兆円近く打撃をこうむるわけですから、地場産業とか地域の商工業にも影響が出てくる。つまり、「農業・地域破壊協定」だといわなければいけない。

 農業者、地域、消費者を含む日本経済全体の問題として国民にとって死活問題だから反対ということです。

日中関係―理を尽くした外交努力こそ

 尖閣諸島問題や日中首脳会談先送りなど、中国との外交関係が議論になり、自民・林氏は「与党にパイプがない」と指摘。国民新・亀井氏は「日本国民にとって中国がどういう国か考える機会にはなった」「中国は共産党の一党独裁だ」と述べました。笠井氏は次のように発言しました。

 笠井 日中関係は、歴史的にも地理的にも経済的にも政治的にも、緊密で深いかかわりがあるわけだから、やはり戦略的互恵ということで外交努力を本当に大事にすることが大事だと思います。尖閣諸島の問題で言えば、日本の歴代政権も現政権もこれまで、日本の尖閣諸島の領有権について歴史的にも国際法上も正当だということを、理を尽くして発信してこなかったという問題があります。

 ですから日本政府には、中国政府にも国際社会にも領有の正当性と大義を堂々と主張する外交努力を行うこと、冷静な外交努力をやっていくこと、中国側にも冷静な対応と行動を求めていきたい。

 一党独裁という話を亀井さんが言われましたが、日本共産党は将来にわたって自由と民主主義を大事にするし、複数政党制をとると綱領でうたっていますから、そのことは一言いっておきます。





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