2010年10月29日(金)「しんぶん赤旗」

JALの人権侵害断罪

「監視ファイル」に賠償命令、東京地裁

会社と一体 労組が個人情報収集


 日本航空の客室乗務員193人がJAL労働組合(連合・航空連合加盟)と歴代役員5人に対し、「会社と一体で個人情報を集めた監視ファイルによって、人権が侵害された」として、謝罪と再発防止、各1万円の損害賠償を求めた裁判の判決が28日、東京地裁でありました。青野洋士裁判長は、プライバシーの侵害を認め、JAL労組と幹部5人に全額の支払いを命じました。


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(写真)東京地裁に向かうJAL監視ファイル事件の原告たち=28日、東京地裁前

 監視ファイルは、2007年に発覚。日航の全客室乗務員と退職者9862人の個人情報を158項目にわたり収集したもので、思想・信条や「シングルマザー」「流産」などの情報が書き込まれ、会社の協力なしには知りえない内容も多く含まれていました。

 判決は情報収集には同意や正当な目的がないと指摘。「私生活上の平穏を害する様態で収集、保管又は使用した」として、プライバシー侵害を認定しました。

 当初は日航も、原告と日本航空キャビンクルーユニオン(CCU、航空連加盟)から訴えられていましたが、第1回口頭弁論で、事実を否認しながら損害賠償(約4800万円)だけ応じ、真相を隠して裁判から降りています。

 原告たちは、客室で起こるさまざまな事態に対応するためにはチームワークがなにより大切であること、監視ファイルが安全運航に不可欠のチームワークを破壊してしまうことなどを繰り返し主張してきました。

「日航再生に生かしたい」

原告団事務局長が会見で強調

 記者会見で飯田幸子原告団事務局長は、「人権侵害が断罪され、喜んでいます。しかし、日航はいまもリストラ計画で指名解雇をちらつかせ、人権を侵害するやり方で、客室乗務員に退職を迫っています。この判決を真の日航再生に生かしたい」と強調しました。

 内田妙子CCU委員長は、「会社が被告を外れ、CCUは原告ではなくなりましたが、(監視ファイルへの)会社管理職の関与も認められました」と指摘。「裁判には、退職強要を受け、勤務を外されている人が多数参加しています。安全運航のためには、整理解雇はあってはならない」と訴えました。





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