2010年10月28日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 東京に木枯らし1号が吹きました。「木がらしや目刺(めざし)にのこる海のいろ」。芥川龍之介の名句を思い起こす人もいたでしょう▼調べてみたら、芥川龍之介は次の句もつくっていました。「木がらしや東京の日のありどころ」。意味するところを、ご本人に聞いてみたい。木枯らしの風景と東京の街や住む人間のありさまを、重ね合わせているようにも読めますが▼木枯らし1号が吹いた日、見過ごせないニュースが流れました。民主党が、今まで慎んできた企業献金の受け取りを解禁する。民主党は、昨年の総選挙で“3年後から企業・団体の献金を禁止する”と公約し、政権についています▼首都東京のど真ん中、政治の街に公約破りの寒々とした風景が広がっています。打ち捨てられた民主党の政権公約(マニフェスト)が、木枯らしに舞っては引きちぎれ、吹きだまりに集まってゆく…▼民主党の企業献金受け取り解禁の理由が、いろいろ報じられています。政党助成金に頼り過ぎないようにするとか、労働組合の献金と企業の献金のつりあいをとるとか。早い話が、税金からも企業からも組合からも、です▼芥川の「政治的天才」という文章も、参考になります。“政治的天才は、民衆を支配するために大義の仮面を用いる。しかし用いたが最後、仮面は永久に脱することを得ない。しいて脱そうとすれば、政治的天才もたちまち倒れる”。「天才」は皮肉でしょう。企業献金禁止の大義ある公約を、民主党が忘れても有権者は忘れません。





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