2010年10月23日(土)「しんぶん赤旗」

阿部四段 プロの意地

第41期将棋新人王戦 終盤鋭い寄せ


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(写真)決勝第3 局で加來博洋赤旗名人(右)を制し新人王になった阿部健治郎四段。後方右は立ち会いの深浦康市九段、同左は小木曽陽司赤旗編集局長=22日、東京・将棋会館

 最終局までもつれこんだ第41期将棋新人王戦(しんぶん赤旗主催)。阿部健治郎四段が最終盤、見事な寄せを見せ、アマの加來博洋赤旗名人を下しました。プロの意地を見せました。

 振り駒の結果、阿部四段の先手となりました。出だしは、先手の居飛車に対し、加來さんが阪田流向かい飛車に構えました。

 阿部四段が穴熊を目指して▲9八香と上がった瞬間に、加來さんは△3五歩。ここからたたかいが始まりました。42手目△8五桂と跳ねた局面で立ち会いの深浦康市九段は「桂跳ねが早すぎる感じ。先手が指せそう」との評価でしたが、数手のやり取りの後、加來さんの△6五歩を見て、「形勢がわからなくなった」(深浦九段)。

 これ以降、加來さんが攻め、阿部四段が受ける流れがつづきました。

 76手目△6九飛と加來さんの攻めが一瞬ゆるんだスキに、阿部四段が放った▲7三銀の捨て駒の王手が鋭い寄せの一手でした。以下、一気に寄せきりました。

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加來さんの健闘に拍手

 赤旗名人が新人王戦に出場し始めたのは1996年です。当時は、アマチュア選手が優勝することはおろか決勝に進出することさえ、「かすかな可能性」としてありえたにすぎません。しかし今回初めて、加來博洋さんが可能性を現実のものとしました。優勝こそ逸しましたが、すばらしい活躍だったと拍手を送りたいと思います。

 加來さんは一昨年、奨励会を年齢制限で退会し、昨年の赤旗名人戦で優勝しました。「赤旗名人」の資格で新人王戦への出場権を得たのが今回の快進撃の出発点でした。

 棋風は独特の魅力に満ちています。序盤は型破りで力強く、終盤は相手を落とし穴に引きずり込むような、不思議な怪力を発揮します。今期トーナメントではその怪力で新人王経験者を2人倒しました。この活躍はけっしてフロックではありません。

 阿部健治郎プロは、第2局で加來さんに1勝を献上したものの、第1・3局の勝ち方は、「さすがは勝率8割を超える棋士」と評価されました。とくに第3局は、プロとして、「どうしても勝たなければならない」というプレッシャーをはねのけての見事な勝利でした。

 昨年優勝した広瀬章人新人王が今年、王位のタイトルを獲得したように、この優勝をステップにさらなる飛躍を期待しましょう。(田中良明)

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