2010年10月11日(月)「しんぶん赤旗」

「反人種差別法」に賛否

メディア「表現の自由の侵害」

ボリビア


 【メキシコ市=菅原啓】南米ボリビアで、先住民やアフリカ系住民などへの差別行為を禁止する反人種差別法案が8日、与党の賛成多数で可決され、モラレス大統領は即日公布しました。ところが同法をめぐっては、違反したメディアへの罰則などが盛り込まれていることに、「表現の自由の侵害だ」と懸念する声が上がっています。

 ボリビアでは先住民が人口(約1千万人)の半数以上を占め、さまざまな差別を受け、長い間貧困状態に置かれてきました。今回の法律は、社会に残る人種差別を一掃することを目指しています。

 モラレス大統領は、自らも先住民として差別を受けた経験をふまえ、「われわれが耐え忍んできた、こうした憎悪や攻撃を終わりにするためのものだ」と新法の意義を強調しています。

 新法は、人種差別的な見解を表明したメディアに対して、罰金や免許停止など厳しい措置を科すことを盛り込んでいます。このためボリビアの主要メディアは、人種差別の一掃という趣旨には賛成しながらも、表現や報道の自由を制限する第16条と第23条の撤回を求めてきました。

 ボリビアの主要新聞は9日、いっせいに新法反対の社説を掲げ、民間テレビのキャスターは喪服姿で画面に登場するなど抗議の意思を表明しました。

 モラレス政権は、こうした批判に対し、表現の自由と、法律を無視した「放縦とを混同してはならない」と指摘。アルセ下院議長は、報道機関の98%は人種差別的なコメントをしていないとし、大部分の報道機関にとって新法を懸念する理由はないと説明しています。

 新法に反対するメディア各社や記者団体は、問題の2条項の是非を問う国民投票を要求する署名運動を開始。問題を国連や米州機構(OAS)の関連機関に提訴する考えを明らかにしています。





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