2010年10月7日(木)「しんぶん赤旗」
裁判勝利にふさわしい補償を
中国人原告と党議員団懇談
縫製技能実習生裁判
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日本共産党国会議員団は6日、中国人縫製技能実習生裁判(福岡高裁)で勝利を果たした原告の女性らと東京・永田町の議員会館で懇談しました。井上哲士、紙智子両参院議員が参加しました。
原告からは劉君(リュウ・チュイン)さん(25)、谷美娟(グ・メイチュエン)さん(23)、杜甜甜(ト・ティエンティエン)さん(24)が訪れました。3人は本人尋問を終えた時点で中国に帰国していましたが、9月13日の高裁判決に合わせて再来日しました。懇談では、裁判の経過や帰国後のそれぞれの消息などが話題になりました。
原告たちは「忙しいときには午前3時まで働かされ、体調を崩しても病院に行かせてもらえなかった」と劣悪な労働実態の一端を証言しました。
帰国後、中国側の送り出し機関に払った保証金の返還を求めても拒否されていることや、裁判で未払い賃金の支払いが確定したものの、会社自体が倒産し補償が不透明なことなど、勝利を心から喜べる状況にはまだ至っていません。7月に入管法が改正され、不法な実習生の受け入れを規制する制度に変わりましたが、実態への適用には、課題が残っています。
紙氏は、「日本と途上国の賃金コストの差額によって、利益を確保する根本的な問題に踏み込んで外国人労働を議論しなければならない」と指摘。井上氏は、「技能実習制度が適正に運用されていくように、しっかりと行政を支えるとともに、裁判勝利にふさわしい扱いがなされるように力を尽くします」と述べました。
懇談の後、原告らは法務省と厚労省に制度運用の適正化などを申し入れました。厚労省には田村智子参院議員が同席しました。
熊本天草「中国人縫製技能実習生」裁判 外国人研修・技能実習生として来日し、熊本県天草市の縫製会社で奴隷的労働を強いられた中国人女性4人が、会社、1次受け入れ機関、国際研修協力機構を訴えた裁判。1月の熊本地裁一審判決は、外国人実習生裁判では初めて1次受け入れ機関の責任を断罪。先月の福岡高裁判決でも一審判決が支持され、計440万円の損害賠償支払いが確定しています。
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