2010年9月20日(月)「しんぶん赤旗」

地域労組 東奔西走

解雇 相次ぎ はね返す

労基署でも、らち明かなかった/組合加入で解決へ

青森 ひだまりユニオン


 一人ひとりの仲間を大切にし、力を合わせて地域から要求を実現させようと活動する青森県の地域労組「ひだまりユニオン」。2000年4月の結成から10年半、新たに組合専従を迎え、県内各地にいる組合員を訪ね、東奔西走の毎日です。(名越正治)


 「猛暑続きだった夏の4カ月近くで9000キロを走破しました」と話すのは田中光幸さん(61)です。元印刷労働者で、10年前まで県労連の事務局次長を務めた労働運動のベテラン。昨年7月、「ひだまり」の専従を引き受け、連日寄せられる労働相談にテキパキと助言しています。

泣き寝入りせずに

 相談者の一人、高杉正子さん(50)は、農地の改良や保全などの土地改良事業推進を目的にする土地改良区の職員です。08年8月、「『不正がある』と風説を流し、多大な支障を生じさせた」との理由で理事者から懲戒解雇を通告されました。

 労働基準監督署に相談しても、らちが明きません。困っていると友人が弘前市の地区労連を紹介してくれ、1人でも入れる「ひだまり」を知りました。

 「加入直後、労基署を管轄する労働局から電話がありました。土地改良区を指導するというのです。組合加入の効果でしょうか」

 労働局のあっせんは不調に終わり、地裁弘前支部へ仮処分を申請しますが、棄却。仙台高裁秋田支部に即時抗告し、09年11月、「懲戒解雇は権利の乱用で無効」との判断が示され、勝利しました。

 「裁判に『ひだまり』や県労連の仲間がかけつけてくれ、頑張れる勇気をもらいました」と高杉さん。「私だけならとっくに泣き寝入りしていたでしょう。労働組合は大きな会社にあるものというイメージを持っていましたが、私たちの身近な存在だとわかりました」

 無権利、低賃金の非正規労働者が増え、悪化する県内雇用情勢。「働けないのは、おまえに問題がある」といった「自己責任」攻撃も強まっています。

 高杉さんはいいます。「『手をつないで横暴に立ち向かっている人たちがいるんだよ』と若い人たちに伝えていきたい。私も“代表選手”の一人です」

背中押してくれる

 印刷会社に勤務する土谷充子さん(54)。昨年1月、「健康に役立つ」というふれこみの酸性水ポリタンクを会長の自家用車に積み忘れたとして、懲戒解雇されました。

 「不当解雇ではないか」と訴えると地裁支部は昨年12月、「懲戒処分をすること自体、許されない」「弁明の機会も与えることなく、即座に解雇をしたのは手続きとしても不当なもの」とし、土谷さんが勝利しました。

 その後、賃金不払いで今年4月、労働審判に訴えました。5月に開かれた2回目の調停のさなか、会社側は元の労働条件で原職復帰を基本とする和解案を提示。土谷さんと「ひだまり」は正当な和解案と認めて受け入れ、調停が成立しました。

 けれども復職後、土谷さんへの監視と無視、パワーハラスメントが続いています。

 土谷さんは「背中を押してくれる『ひだまり』の支援はとても力強い。困難はありますが、毎日がたたかいです」と話しています。

 高杉さん、土谷さんのたたかいを「支援する会」(会長・高橋秀直弘前大学名誉教授)は8月30日、弘前市で激励会を開き、運動をさらに盛り上げようと決意を交わしました。

 激励先=青森地域一般労組「ひだまりユニオン」 青森市大野若宮165の19 電話017(762)6234ファクス017(729)2186


 地域労組 正社員中心の企業内組合とは違い、産業、職種、雇用形態、国籍にかかわらず、非正規労働者などが個人で入ることができる地域の労働組合。





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