2010年9月19日(日)「しんぶん赤旗」

超微粒子の有害性警鐘

ディーゼル排ガス 脳神経・生殖系に影響

東京でセミナー


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(写真)超微粒子の健康被害に警鐘が鳴らされた環境公害セミナー=18日、東京都文京区

 「いまなお続く大気汚染の深刻な実態と救済を考えよう」という環境公害セミナー(主催、東京保健会病体生理研究所と公害・地球環境問題懇談会)が18日、東京都文京区で開かれ、ディーゼル車などの自動車排ガス中の粒径100ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の超微粒子が持つ新たな「病原性」に警鐘が鳴らされました。

 セミナーでは、東京理科大学総合研究機構の武田健・ナノ粒子健康科学研究センター長(薬学部教授)が「ディーゼル排ガスに含まれるナノ粒子の健康影響」と題して、病変部のスライドなどを示しながら、最先端の研究成果を報告。

 動物実験で脳神経系や生殖系などへのさまざまな有害性がわかってきたとのべ、ナノ粒子はバクテリア(細菌)、ウイルス、プリオンに続く「第4の新たな病原性物質といいたくなるほどさまざまな影響を及ぼしている可能性がある」と、目に見えないナノ粒子の危険性と、悪影響の予防の大切さを訴えました。

 武田センター長によると、妊娠中の母マウスにナノ粒子を吸い込ませると、血流に取り込まれ、母から胎盤を通って胎仔(たいし)に移行。脳血液関門などを通過したナノ粒子は、脳の細胞小器官に蓄積、周辺細胞に悪影響を与えるなど、次世代への健康にまでかかわっていることがわかりました。

 「大気汚染被害者の新たな救済制度をめざして」と題して報告した東京大気汚染公害裁判弁護団の原希世巳事務局長は、微小粒子(PM2・5)の有害性を踏まえた新たな公害対策の必要性を強調。公害被害者の運動で実現した東京都のぜんそく医療費救済制度や微小粒子の新環境基準設定に触れ、「観測体制がまだ不十分だが新基準を達成できたところはほとんどなく、安全だとはまだいえない」と指摘しました。汚染者負担の原則で早急に全国的な大気汚染健康被害者救済制度の実現は急務だと訴えました。





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