2010年9月1日(水)「しんぶん赤旗」

主張

「防災の日」

命を守る政治の責任いまこそ


 9月1日は「防災の日」です。87年前の1923年のこの日発生した地震が、東京や横浜などに大きな被害をもたらし、死者10万人以上もの犠牲を出した「関東大震災」にちなみ、各地でさまざまな防災の取り組みが行われます。

 地震や台風、集中豪雨などの災害は、いつどこで起きるか、完全な予測は不可能です。しかし、その発生を最小限に抑え、被害の拡大を防ぐために力を尽くすことはできます。災害への備えを怠らず、災害に強いまちづくりの実現など、国民の命を守る政治の実現が、切実に求められます。

大被害生む「深層崩壊」

 今年に入ってからも、日本列島は多くの災害に見舞われました。

 2月にはチリ中部沿岸で発生した地震による津波が全国各地を襲い、幸い人的被害はなかったとはいえ、太平洋沿岸の養殖漁業などに被害をもたらしました。

 6月から7月にかけ日本付近に居座った梅雨前線は各地で大雨を降らせ、岐阜、広島、佐賀の各県を中心に、土石流、地すべり、がけ崩れなどの傷跡を残し、大きな被害を引き起こしました。

 異常な熱波が「熱中症」などの被害をもたらし、ことしはまだ発生数は少ないとはいえ、これから台風シーズンも本格化します。

 地球環境の温暖化ともあいまって、これまで体験したこともないような異常な災害が相次いでいることも特徴です。

 7月に鹿児島県南大隅町で頻発した大規模な土石流では「深層崩壊」という現象が注目されました。通常の土砂崩れが山肌から1〜2メートルの土が崩れる「表層崩壊」と呼ばれたのにたいし、大量の雨が引き金になったとみられる深層崩壊では山が岩盤ごと崩れるため、土砂もけた外れに大量になり、被害も大きくなります。

 国土交通省は最近、深層崩壊が起こりやすい地域を4段階の評価で示した「推定頻度マップ」を初めて公表しました。深層崩壊の研究が本格的にはじまったのはこの十数年のことだといいます。この予測地図をもとに、今後、発生頻度が高いと推定された地域を中心に3年をかけて詳細な危険度調査を行うとしていますが、綿密な対策が急がれます。

 “ゲリラ豪雨”などと呼ばれる異常豪雨による被害も目立ちます。気象庁の記録でも、1時間降水量50ミリ超という短時間強雨の発生が増加傾向にあります。思わぬところで道路が冠水し、川の増水で人が流されるなどの被害が相次いでいます。都市部の下水や護岸工事はこれまで時間当たり50ミリの雨を想定して設計されてきました。それを超える豪雨にみあった対策が求められています。

被災者が立ち直れるように

 いつ起きてもおかしくないといわれる大地震への備えはどうか。水道、ガスなどのライフラインの確保はきわめて重要です。昨年の事業仕分けでは、災害時に破裂するおそれのある老朽化した管の更新事業の予算が大幅に縮減されました。地震から人命を救う重要な建物の耐震化にも、計画的で強力な取り組みが必要です。

 災害から自力では立ち上がれないほどの被害を受ける人たちを一人でも少なくする、被害を受けた人を見捨てない―。被災者が立ち直れるよう救援・支援する制度の拡充も大きな課題です。





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