2010年8月28日(土)「しんぶん赤旗」

政府「安保防衛懇」が報告書

集団的自衛権行使促す 武器輸出三原則見直し


 政府の「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・佐藤茂雄京阪電鉄最高経営責任者)が27日、首相官邸で会合を開き、今後の日本の軍事力の指針となる新「防衛計画の大綱」の年内策定に向けた報告書をまとめ、菅直人首相に提出しました。報告書は、日米軍事同盟と核抑止力へのさらなる依存、自衛隊の海外派兵拡大と質的転換のため、憲法上の“歯止め”を全面的に取り払う方向性を示しています。

憲法上の制約撤廃要求

 憲法が禁じる集団的自衛権の行使を求め、武器輸出三原則、PKO(国連平和維持活動)参加五原則の武器使用基準の見直しを主張。戦後大原則となってきた「専守防衛」を含め、「こうした政策は、日本自身の選択によって変えることができる」と転換を促しています。

 また、軍事力の量的な強化に主眼を置いた「基盤的防衛力」構想から脱却し、質的な強化に主眼を置いた「動的抑止力」への転換を強調しています。

 集団的自衛権の行使に関して、「日本には現在、米艦艇の防護や米国に向かう弾道ミサイルの撃墜を、実施するかどうか考える選択肢さえない」として憲法解釈の見直しを求めています。

 また、非核三原則について報告書は、当面改めなければならない情勢にないとしながら、「一方的に米国の手を縛ることだけを事前に原則として決めておくことは必ずしも賢明ではない」としています。

 海外への武器輸出を禁じた武器輸出三原則については、米国以外の国とも共同開発・生産が可能となるよう見直しを要望。自衛隊の配備等については離島・島嶼(とうしょ)防衛を重要視し、これらが「米軍との共同作戦基盤を確保する上でも戦略的に重要」だとしています。

 新「防衛計画の大綱」は当初、昨年末策定の予定で麻生自公政権下でも昨年8月に有識者懇談会が報告書を提出しましたが、その後の総選挙で政権交代し、民主党政権下で「新しい政府として十分な検討を行う必要がある」として新たに懇談会をつくり議論してきました。


 「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」 年内策定を予定する新「防衛計画の大綱」に向けた報告書を提出するため、外務省・防衛省の元高官や研究者などで構成された首相の私的諮問機関。これまで大綱改定のたびに同様の懇談会を開催し、報告書を提出してきました。自公から民主党への政権交代に伴い、今年2月に新たなメンバーで懇談会を設置し、議論してきました。





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