2010年8月26日(木)「しんぶん赤旗」
円高・株安止まらず
1ドル=84円台 株は最安値
25日の東京株式市場は、政府による円高対策の遅れに失望感が広がり、日経平均株価の終値は前日比149円75銭安の8845円39銭と4日続落しました。終値で24日に付けた今年最安値を更新。電機や自動車など輸出関連株の売りが止まらず、一時187円安まで値を下げる場面もありました。
政府対応に失望
同日、東京外国為替市場の円相場は、午後5時時点で1ドル=84円56〜59銭と、前日(84円55〜58銭)に比べ01銭の円安・ドル高となりました。野田佳彦財務相が同日朝、「必要なら適切な対応をとる」と述べ、為替介入の可能性を示唆したためとみられます。
円高・株安を受けて菅直人首相は同日、野田財務相、仙谷由人官房長官と協議し、米倉弘昌日本経団連会長ら財界3団体トップとも会談しました。
しかし、首相が野田財務相に指示したのは「市場の動向を注意深く見てほしい」ということだけ。米倉会長らには「新成長戦略」の早期実施など大企業の利益を守る意向は示しました。しかし、為替介入や追加金融緩和など円高阻止に向けた具体策への言及がなく、円高の影響から雇用や中小企業を守る政策も示しませんでした。
政府は、民主党政策調査会が26日にも取りまとめる提言を踏まえ、来月初めにも追加の経済対策を策定する方針です。
解説
日本「一人負け」 内需拡大こそ
「世界は今、通貨切り下げ競争になっている」。証券マンは指摘します。欧米諸国は、自国の通貨安で輸出を拡大し経済金融危機からの脱出を狙っています。その中で、まったくの無策ぶりをあらわにしているのが日本です。まさに日本は、「一人負けの状態」。首相や閣僚が発言するたびに、人々に「失望感」を与え、株安、円高が進むことが繰り返されています。
「円は『根拠なき熱狂』の最たるもので、投機筋の遊びとなっている」と東京証券取引所の斉藤惇社長が指摘しました。投機マネーが政府の無策につけこんで荒稼ぎすることを許してはいけません。
円高の被害を最も受けるのは、輸出大企業ではなく、下請け中小企業であり、賃下げ、リストラに直面する労働者たちです。投機市場の規制とともに、内需を振興することで日本経済を転換させることが求められています。(金子豊弘)

