2010年8月10日(火)「しんぶん赤旗」
中国で土石流137人死亡
甘粛省 不明1300人超 市街地浸水
【北京=小寺松雄】中国甘粛省の甘南チベット族自治州舟曲県で8日未明、豪雨による大規模な土石流が発生しました。9日午後までに死者137人が確認され、1348人が行方不明となっています。被災者は5万人に上ります。
中国中央テレビや甘粛省政府の発表によると、舟曲県では7日夜から40分間で100ミリ近くの豪雨があり、二つの谷で大規模な土石流が起きました。このため県政府所在地の月円村を含む幅約500メートル、長さ約5キロの区域が埋まりました。この地域の住民は約2000人です。
また土石流で県の中心を流れる白竜江がせき止められてダム湖状態となり、市街地の大部分が浸水しました。
同県は省都蘭州から約280キロ離れた山間部にあり、人口は約13万5000人。四川省と隣接しており、2008年の四川大地震でも被害を受けました。四川大地震、今年4月の青海省玉樹地震もチベット族地域が被災地となりました。
土石流発生の報を受け、甘粛省と州・県、また周辺省から、約6000人余りの兵士、警察部隊、消防、医療チームが現地に入り、生き埋め、行方不明者の救出、捜索や治療にあたっています。
温家宝首相も8日に現地入りしました。首相は甘粛省に向かう機内で政府対策本部を設置。現場視察の後、8日夜には同県で対策会議を開き、せき止め湖水への対応などを協議しました。
せき止め湖では9日まで2度にわたって土砂の塊を爆破。深さ5メートル、幅2メートル余りの流出口ができ、せき止め湖の水は1メートル近く下がりました。ただ今後も雨の予想があり、予断を許しません。
また中央政府の民政省と甘粛省政府などはこれまでテント5000張り、寝袋5000個、簡易ベッド8000床、薬9万点、食料80トンなどを被災地に届けていますが、食料と水がまだ不足しています。