2010年8月7日(土)「しんぶん赤旗」
中国高官「GDP世界2位」発言波紋
国営通信が「拡大解釈」戒め
【北京=小寺松雄】中国の外貨管理局長が「中国は日本を抜いて世界第2位の経済大国になった」と発言して話題を呼んでいます。これに対し国営通信社が事実上それをいさめる論評を出しました。
きっかけは、7月末に『中国改革』誌に載った易綱・国家外貨管理局長(中央銀行である人民銀行副総裁も兼務)のインタビューです。ただ易氏は数字などの論拠は明示しませんでした。
中国政府は7月、上半期の国内総生産(GDP)が17兆2840億元(約231兆6000億円)と発表しています。易氏は、この数値が8月中旬に発表される予定の日本の上半期GDPを抜くとみているとも受け取れます。また今のところ昨年世界3位の中国GDPの数値が、「最終発表」によっては日本を上回るのではないかとの予測も一部にはあります。
易氏のコメントに対して、中国国営新華社通信は3日、「『世界第2位』を拡大解釈すべきでない」とする論評を発表しました。
中国通信の報道によると、論評は「昨年、中国人1人あたりのGDP数値は日本の9・3%で、世界の100位前後だ」と指摘。「何よりも1人あたりGDPを高めることが必要だ」と強調しました。
また論評は、「特に一部西側メディアが『中国がGDP第2位に』と騒ぎ立てている」としてその意図を分析。「『世界第2位』を理由に、中国に貿易や気候変動、エネルギーなど多くの分野でより譲歩するよう要求するものだ」と警戒を表明しています。
今後、各種の数値が発表されるにつれ、「GDP世界2位か」をめぐる中国と世界の論議がさらに高まるものとみられます。

