2010年8月7日(土)「しんぶん赤旗」

潘基文国連総長あいさつ

(要旨)


 6日広島市の2010年平和記念式典でおこなった潘基文(パン・ギムン)国連事務総長のあいさつ(要旨)を紹介します。


 私は初の国連事務総長として、被爆65周年にあたるこの平和記念式典に参加できたことを光栄に思います。そして今、深い感動に包まれています。

 広島と長崎に原爆が投下された当時、私は1歳でした。

 私は少年時代を朝鮮戦争のさなかに過ごし、炎上する故郷の村を後にして、泥道を山中へと逃れたことが、最初の記憶の一つとして残っています。

 それ以来、私は一生を平和のためにささげてきました。

 私が今日、ここにいるのもそのためです。私は世界平和のために広島にきました。

 私たちは65年前に命を失った人々、一生を永遠に変えられてしまったさらに多くの人々に対して哀悼と敬意の念を表すため、一堂に会しているのです。

 私は皆さんに、平和と希望のメッセージを送りたいと思います。より平和な世界を手にすることは可能です。

 被爆者の皆さん、あなた方の勇気で、私たちは奮い立つことができました。次の世代を担う皆さん、若い世代の皆さん、あなた方はよりよい明日の実現に努めています。皆さんは力を合わせ、広島を平和と希望の「震源地」としてきました。

 私たちはともに、グラウンド・ゼロ(爆心地)から「グローバル・ゼロ」(大量破壊兵器のない世界)を目指す旅を続けています。

 それ以外に、世界をより安全にするための分別ある道はありません。核兵器が存在する限り、私たちは核の影におびえながら暮らすことになるからです。

 私が核軍縮と核不拡散を最優先課題に掲げ、国連において5項目提案を出した理由もそこにあります。

 私たちの力を合わせる時がやって来たのです。最も強大な国々もリーダーシップを発揮し始めました。国連安全保障理事会でも、新たな取り組みが生まれています。市民社会にも新たな活力が見られます。

 ロシアと米国は新しい戦略兵器削減条約に合意しました。昨年4月、ワシントンでの核セキュリティーサミットで重要な進展を遂げることができました。2012年には次回のサミットが韓国で開催される予定です。

 私は9月にニューヨークの国連本部でハイレベルの軍縮会議を招集する予定です。そのためには、核軍縮に向けた交渉を推し進めなければなりません。それは、包括的核実験の禁止に向けた交渉です。また、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)に向けた交渉でもあります。

 65年前、この地には地獄の炎が降り注ぎました。今日、ここ平和記念公園には、一つのともしびがともっています。それは平和のともしび、すなわち、核兵器が一つ残らずなくなるまで消えることのない炎です。

 自分たちが生きている間、そして被爆者の方々が生きている間に、その日を実現できるよう努めようではありませんか。

 炎を希望の光へと変えようではありませんか。

 核兵器のない世界という私たちの夢を実現しましょう。私たちの子どもたちや、その後のすべての人々が自由で、安全で、平和に暮らせるために。





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