2010年7月31日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 ピアノ奏者の小曽根真さんには、3度驚かされました。1度目は、26年前でした▼小曽根さんが、ジャズ演奏の録音を通して広く知られるようになったときです。当時23歳。レコードの表紙に写る表情は、あどけなさをとどめていました。ところが、演奏は先輩たちも顔負けの堂々とした弾きぶり▼若者らしい生気と熟した味わい。文句なしに、「これほどの大器はめったに現れない」との世評が納得できました。小曽根さんは多くの聴き手の心をつかみ、「世界のオゾネ」へと飛び立ってゆきます▼次は、5、6年前だったでしょうか。ある日、何気なくテレビの音楽番組を途中から見始めました。と、小曽根さんがモーツァルトの協奏曲を弾いているではないか。堂に入った演奏。小曽根さんの音楽に、形の垣根はありません▼3度目は昨年です。井上ひさしさんが小林多喜二を描いた「組曲虐殺」の、音楽と演奏をうけもちました。舞台に連日の生出演。読売演劇大賞の最優秀スタッフ賞を受けます。審査員が評しました。「恐ろしい事実を伝えたい、でも人々を楽しませたい――この多喜二の思いと、泣いて笑える井上戯曲の持ち味に、小曽根真のジャズ風味のブルースはぴったりだった」▼最近の話題は、「ロード・トゥ・ショパン」の録音です。ショパンへの道。ことし生誕200年のショパンの名曲をさまざまな形に弾き分ける、作曲家への尊敬と愛情に満ちた曲集です。小曽根さん、今後はどんな驚きをもたらしてくれるのでしょう。





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