2010年7月23日(金)「しんぶん赤旗」
「雇用守れ」熱く討論 全労連大会
2日目
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東京都内で開かれている全労連第25回定期大会は2日目の22日、前日提案された運動方針案にたいする討論をおこないました。賃金・雇用破壊とのたたかい、春闘再構築、公務員削減攻撃にたいする反撃の教訓が語られました。教育問題、内需主導による地域経済の再生、反核・平和運動など国民との共同の発展のほか、外国人労働者問題、青年、女性分野の活動など方針を豊かにする真剣で活発な討論が続きました。討論に先立ち、労働総研の牧野富夫代表理事が来賓あいさつをしました。また、解雇撤回などを求めてたたかう33の争議団が紹介され、争議団支援特別決議が採択されました。
派遣法抜本改正へ全力
「派遣切り」など雇用破壊に立ち向かう単産、地方組織の取り組みの報告が相次ぎました。
熊本県労連の熊本ローカルユニオンに加入し、NECセミコンダクタに解雇撤回と直接雇用を求める男性は、「3人の原告団で提訴した。私は失業給付が切れ、新聞配達しながらたたかっている。雇用は正社員が当たり前の社会を実現するために頑張る」と報告しました。
愛媛労連愛媛一般労組の女性は「ハリソン東芝の『派遣切り』に対し労働委員会でたたかい勝利解決した。今後は『派遣切り』が二度と起こらない派遣法抜本改正へ頑張りたい」と語り、大きな拍手をうけました。
1年半におよぶマツダ「派遣切り」とのたたかいで、山口県労連は「17人の原告団を支援する組織をつくり、防府駅前でも毎週宣伝し、市民の共感を広げている」。広島県労連は「マツダ門前宣伝でビラの受け取りが10倍になった。単価切り下げに苦しむ下請け会社でも、労働者が集団で地域労組ひろしまに加入している」と発言しました。
全労連・全国一般の代議員は、資生堂の「非正規切り」に対し、正社員化を求め提訴したこと、世界最大の化学メーカー、ダウ・ケミカルで名古屋工場閉鎖・解雇に反対し、アメリカ本社の労働組合とも連帯してたたかっていることを報告しました。
みえ労連の代議員は、県内三つのローカルユニオンがOBを労働相談員として組織し、組合員を140人増加させている活動を紹介。「タクシー労働者から相談を受け、単産の自交総連加入につながった。相談解決だけで終わらず、組織拡大型の運動に発展している」としました。
映演労連の代議員は、現場で圧倒的多数をしめる非正規雇用のため力を発揮しようと活動し、「誰でも入れるフリーユニオンが100人を超えている。東映アニメでは25年も働いている契約社員の不当解雇撤回をたたかっている」と発言しました。
首都圏青年ユニオンで活動する東京労連代議員は、「NHK関連会社で『派遣切り』にあった女性と一緒に団体交渉し、定年になるまでの雇用継続を約束させた」と話しました。
郵産労は非正規社員の10万人正社員化の取り組み、通信労組はNTT10万人リストラや北海道での契約社員の派遣会社転籍とのたたかいで、非正規雇用労働者からたたかう労働組合への期待が高まり、加入が相次いで組織が前進しているとしました。
看護師実態調査について、日本医労連の代議員は、看護師の7割が慢性疲労、夜勤月9回以上が3割、地方では5割に達するなど医療は危険な状況にあると紹介。全国縦断キャラバンなどで、看護師の増員などを求めたいとのべました。
官製ワーキングプア解消
公契約条例の制定求める
住民サービス低下に直結する政府の「地方分権改革」や公務員削減を許さず、「官製ワーキングプア」解消や公契約条例制定を求める運動をめぐって活発な討論がおこなわれました。
入札制度改善を求めて都内23区と交渉した活動を報告した全印総連の代議員は、最低価格制度の検討など改善が進んでいると語りました。千葉労連の代表は、旧道路公団の車両運転管理業務で、同じ仕事でも入札で雇用主がかわり10万円の賃下げが強行されたと告発し、国、自治体の責任を追及したいと語りました。柏市でALT(外国語指導助手)を雇い止めされた外国人男性は賃金、保険は劣悪で、毎年、労働条件が下げられていると語りました。
自治労連の代議員は、職員の半数以上が非正規雇用労働者という公務職場がふえ、昇給や退職金、休暇もなく、新入職員を指導するベテランも年収200万円未満だと告発。人事院が非正規雇用労働者について3年で雇い止めにしようとしていることを批判し、この秋に雇用を守る大闘争を展開すると発言しました。
保育園で非正規の保育士、資格のない補助員が増えているとのべた石川県労連の代表は、官製ワーキングプアをなくす運動と公契約条例を制定する運動を官民共同で地域経済を再生させるために奮闘したいと表明。全労連・全国一般の代議員は、委託職場の実態調査を行い、自治体との契約が多いほど賃金が低く、“ダブルワークしないと食べていけない”と告発。公契約条例の制定と最低賃金の引き上げを一体として取り組む必要性をのべました。
参院選で各党が公務員をたたけば票が増えるとばかりに「公務員バッシング」を競い、大連合という状況にあると指摘した国公労連の代議員は、公務員削減は国民の安全、安心を確保する住民サービスを低下させ、住民が被害を受けると語りました。特殊法人労連の代議員は、政府の事業仕分けでは、国民の命とくらしは守れないと語り、公的事業を守ることの大切さをのべました。
全国どこでも共同の中心で奮闘
基地撤去・授業料の無償化・教員増
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全労連が全国各地で国民的課題で中心的な役割をになって奮闘している活動の報告が注目されました。
沖縄・米軍普天間基地の無条件撤去の取り組みを発言した北海道の代議員は、在日米軍が移転訓練の最大地域にしている釧路労連から参加しました。訓練は近年拡大強化され、今春の訓練中には山火事を起こし、酪農家や住民の不安が増していると指摘。平和団体や住民らとつくる連絡会の反対運動を報告し、「沖縄県民のたたかいに呼応して運動を強めたい」と語りました。
沖縄県労連の代議員は、米軍新基地建設地が名護・辺野古に回帰した日米合意に対し、「県民の怒りは限界を超えて爆発し、安保・基地問題を国民世論にしたい」と強調。無条件撤去に向け、「県民世論に依拠し全力で頑張る」とのべました。
米軍岩国基地を抱える山口県労連の代議員は、幅広い市民や民主団体による実行委員会で岩国集会を成功させた経験から、市民の変化や動きを前進させたいとのべました。
岡山県労会議からは、沖縄に連帯した運動を通じて安保破棄実行委員会を再開させ、学習と討論を力に新たな運動を前進させていると報告しました。
「父母、国民のみなさんと、子どもにゆきとどいた教育条件、負担軽減を求めてきた運動の成果だ」。全教の代議員は、公立高校の授業料無償化の実現について、こう語りました。20年間で3億8000万人分の教育署名を集めてきたと指摘。また、憲法にもとづく学習権の保障から、私立や授業料以外の費用も無償にすべきだと訴えました。さらに、全都道府県で少人数学級が実現したほか、教職員定数増に向けた国の動きを、「世論と運動の到達点だ」として国民との共同を広げていくとのべました。
20万人を超える臨時教員に支えられている教育現場の実態について、全教の代議員は、首都圏のある小学校では28学級のうち7学級の担任が臨時教員だと告発。臨時教員の低賃金・雇用不安が子どもの教育にしわ寄せをうんでいる点をあげ、「教育の保障には国の責任で正規教員を大幅に増やすことが必要だ」とのべました。
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