2010年7月14日(水)「しんぶん赤旗」

主張

サッカーW杯閉幕

貴重な一ページ 南ア大会


 日本チームのがんばりに勇気をもらい、世界のプレーにため息をつく…。サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が、熱戦の幕を閉じました。4年に1度、しかもアフリカ大陸で初の大会の盛り上がりに、サッカーの面白さを再確認した方も多かったのではないでしょうか。

世界のレベルが縮まった

 決勝のスペインとオランダの試合が象徴したように、32の参加チームがそれぞれの「色」を出しあいながら、さまざまなサッカーの「形」をみせてくれました。

 大会全体から感じたのは、世界のレベルの差が確実に縮まっているという事実です。イタリアやフランスなどの強豪が早々と敗退する一方、2回目出場のニュージーランドが健闘し、アジアの日本、韓国がそろってベスト16に駒を進めるなど、世界のサッカー地図が少しずつ塗り替えられつつあることをうかがわせました。

 日本代表のたたかいぶりには目を見張るものがありました。大会前の不調をはねのけ、1次リーグで2勝をあげ決勝トーナメントに進みました。強豪を相手にチームが一丸となり立ち向かっていく姿に励まされ、試合後の外国選手との交流にも胸を熱くしました。

 そのしっかりした守備と時折みせる鋭い攻めには、世界のサッカー関係者から「日本の成長ぶりはすばらしい」との評価を受けました。今回を土台に今後、日本サッカーの強化・発展をさらにすすめていってほしいものです。

 今大会のスローガンは「さあ、アフリカ人であることを祝福するときだ」でした。初のアフリカ大陸のW杯がいったい何を残したか。

 大会前には、「治安が悪い」「インフラが未整備」などと騒ぎ立てるマスメディアも多くありました。しかし、南アフリカには多くの外国人が訪れ、観客数も300万人を超えました。これはアメリカ大会、ドイツ大会に次ぐ3番目の記録です。活況のなか、民族楽器のブブゼラも一役買いながら、世界の人々とのさまざまな結びつきが生まれました。運営でも多くのボランティアらが大会を支え、もてなしの心も随所で感じさせました。W杯成功は、南アの人々の自信と誇りにもつながるでしょう。

 準々決勝では、各チームのキャプテンが、反人種差別の宣言を世界に向けて発信しました。前回のドイツ大会から続いて行われたものです。人種差別はサッカー界でしばしば問題になるだけでなく、国際社会でも解決が求められている課題です。スポーツが、フェアな社会づくりにむかって力を尽くすことは大きな意義があります。

 南アフリカは、黒人が長いことアパルトヘイト(人種隔離政策)のもとで苦しめられてきた歴史があります。いまも経済的格差に苦しむ人々、子どもたちにとって、選手のアピールが希望や励ましとなったことでしょう。

4年後のブラジルに向け

 審判の誤審やシーズン中の過密日程による選手の疲労、けがの影響も改めて問題視されるなど、課題は残りました。しかし、南アフリカ大会が成功裏に終了し、W杯の歴史に貴重な一ページを記したことは間違いありません。

 次はサッカーの本場、ブラジルでの大会です。今大会の成果を引き継ぎつつ、4年後に向け、新たなスタートが切られます。





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