2010年7月11日(日)「しんぶん赤旗」

韓国哨戒艦沈没「攻撃を非難」

安保理が議長声明

対話・交渉の再開促す


 【ワシントン=小林俊哉】国連安全保障理事会は9日、韓国の哨戒艦沈没事件に関し公式会合を開き、「沈没に至った攻撃を非難する」とした議長声明を全会一致で採択しました。声明は、北朝鮮による攻撃と断定した韓国主導の国際調査結果に言及する一方、関与を否定する北朝鮮の主張も明記しました。

 声明は、哨戒艦沈没を「攻撃」だとして遺憾の意を表明。韓国主導の調査結果を踏まえて「安保理として深い懸念を表明する」とした一方、「関与を否定する北朝鮮を含む関係国の主張に留意する」として、北朝鮮の関与を安保理としては認定しませんでした。

 その上で「沈没に至った攻撃を非難する」として、再発防止の重要性を強調しました。

 また、関係国間の「直接対話や適切な窓口を通じた交渉を再開する」よう呼び掛け、「朝鮮半島の懸案を平和的手段で解決する」ことを促しました。

 韓国は6月4日、「北朝鮮の軍事挑発という重大性に相応した対応」を求める書簡を安保理に提出し、北朝鮮非難の決議採択を要請。これを日米が支持する一方で、朝鮮半島の情勢悪化を懸念する中国は強硬な措置に反対してきました。

 クリントン米国務長官は同日、声明を発表し、今回の議長声明を「韓国艦船に対する北朝鮮による攻撃への非難」と述べ、「安保理として、国際社会の団結を示した」と強調しました。今月中に訪韓し、対応を協議することも明らかにしています。

 韓国の朴仁国(パク・イングク)国連大使は、声明採択後、記者団に対し、「北朝鮮による攻撃を非難する国際社会の明確なメッセージだ」と歓迎しました。

 北朝鮮の申善虎(シン・ソンホ)国連大使は同日、「安保理は正しい判断を下すことに失敗した」と批判する一方で、「平和協定締結に向けた努力を続け、6カ国協議を通じた非核化プロセスを継続する」と述べました。

 中国外務省は声明を発表し、「声明は平和的手段で朝鮮半島問題を解決すること、南北双方が直接対話を復活することを督励している」と評価。「6カ国協議を早期に再開し、朝鮮半島の平和と安定を確保するよう呼び掛ける」と訴えました。


 韓国哨戒艦沈没事件 韓国海軍の哨戒艦「天安」(1200トン級)が3月26日、韓国が黄海上の軍事境界線と位置付ける北方限界線(NLL)南側海域で沈没した事件。韓国政府主導の軍民合同国際調査団は5月20日、北朝鮮の小型潜水艇による魚雷攻撃と断定する中間調査結果を発表しました。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp