2010年7月3日(土)「しんぶん赤旗」

主張

消費税「還付制度」

「弱い者いじめ」首相も認めた


 「消費税率10%」への増税を打ち出した菅直人首相の発言が、二転三転しています。消費税を増税した場合の低所得者対策を持ち出した各地の演説でも、消費税の「還付制度」の対象についてコロコロ発言を変えました。

 青森では「年収200万とか300万以下の人」、秋田では「300万とか350万以下」、山形では「300万から400万以下の人」に還付する―。まるで「バナナのたたき売り」です。翌日にはついに金額を引っ込めました。

場当たりの数字で

 心地よく響く寅さんの映画の中の口上とはまったく違います。首相の「たたき売り」は、消費税増税への庶民の大きな不安に対して場当たりの数字でごまかそうという、あまりにもいいかげんで無責任な姿勢を示しています。

 首相が還付制度を言い出したのは、還付が必要なほど消費税が低所得層に重い税金だという事実を首相も認めたということです。そんな税金なら初めから取らなければいいし、ましてや増税すべきではありません。

 消費税は所得に対する負担の割合が低所得者ほど高く、高所得者ほど低くなる「逆進性」を持つ過酷な税金です。

 しかも主要国と比較すると、日本の低所得層の税金と社会保険料の負担割合は最も高く、低所得層への年金など公的給付の割合は最低水準です。昨年の「経済財政白書」も日本の「再分配効果は国際的に見ても低い」とのべ、特に税金による再分配効果は「最も小さい」と認めています。日本の低所得層は「やらずぶったくり」の境遇に置かれています。消費税増税などもってのほかです。

 仮に還付制度を導入したとしても、消費税の逆進性は緩和されこそすれ消えてなくなるわけではありません。会計検査院の雑誌『会計検査研究』(今年3月発行)に掲載された試算を見ると、5%分を還付する場合、収入に対する消費税の負担割合が年収1000万円を超える所得層よりも低くなるのは、年収100万円台以下の最も低い所得層だけです。

 もう一つの問題は還付額を多くすればするほど消費税の税率そのものをいっそう引き上げなければならないということです。菅首相は消費税増税の理由として財源が10兆円足りないと言っています。“初めに増税の規模ありき”ですから、還付分は「10%」に上乗せされざるを得ません。そうなると還付制度から外れる中堅所得層には一段と重い負担増になります。

 何より、還付制度を導入しようとも、価格に転嫁できない中小企業には消費税は身銭を切る重い負担となる一方、価格に転嫁できる大企業は1円も払わなくて済むという不公平はそのままです。ごまかしは通用しません。

大企業減税のため

 菅首相は第一声以来触れようとしませんが、民主党の参院選公約は法人税率引き下げを明記しています。政府の方針は15%の税率引き下げであり、これでは消費税増税分のほとんどが大企業減税に吸い込まれてしまいます。

 大企業減税の穴埋めに消費税増税をという方針の発信源は財界・大企業です。財界にはっきりものが言える日本共産党を伸ばして、弱い者いじめの消費税増税を断念に追い込もうではありませんか。





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