2010年6月28日(月)「しんぶん赤旗」

欧州 軍事費削減続く

英25% 仏15% 伊10%…


 ギリシャ危機をきっかけに、欧州各国で財政赤字削減のための緊縮政策が打ち出される中で、軍事予算も「聖域」とされず、削減や見直しの対象になっています。その規模は、北大西洋条約機構(NATO)の盟主・米国も“懸念”を表明するほどとなっています。(夏目雅至)


 英国では、5月の総選挙で成立した保守・自由民主連立政権のオズボーン財務相が6月22日、緊縮政策を発表。保健省、国際開発省を除く全省庁に2014年までに予算25%の削減を義務付けました。

 10年度の予算が369億ポンド(約4兆9660億円)の国防省もその例外ではなく、フォックス国防相は「経費削減のためには、容赦のない厳しさで臨む」と言明しています。

 10年度で385億ドル(約3兆4650億円)規模の軍事予算から13億ドルの削減を打ち出したのは、ドイツのグッテンベルク国防相。さらにドイツ軍の兵員数を25万4千人から15万人に減らすことも選択肢にしています。

 フランスのモラン国防相は14日、年間約400億ドル(約3兆6千億円)規模の軍事予算から約15%、61億ドルを削減することを明らかにしました。すでに同国国防省は軍人、軍属を含む5万人を3年計画で削減することも決定しています。

 スペインは昨年度に続き、本年度も軍事費を削減。前年度比約9%、7億4千万ドル(約666億円)がカットされています。

 イタリアでは昨年削減された軍事費をさらに11年に10%削減することが検討されています。これは政府が5月末に発表した約300億ドル(約2兆7千億円)の緊急予算削減措置の一環です。同国の軍事費は10年度で174億ドル規模です。

 こうした欧州の同盟国の軍事費削減政策に対し、米国のゲーツ国防長官は10、11の両日、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)国防相会議で、自国のアフガニスタン、イラク戦略に影響することを恐れ、“懸念”を表明しています。





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