2010年6月18日(金)「しんぶん赤旗」

菅内閣不信任決議案に対する

穀田議員の賛成討論

衆院本会議


 日本共産党の穀田恵二国対委員長が16日の衆院本会議で行った菅内閣不信任決議案に対する賛成討論は次のとおりです。


 私は日本共産党を代表して、菅内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。

「共同責任」への自覚・反省なし

 「政治を変えてほしい」という国民の期待と自ら掲げた公約を裏切ったことに対する国民の大きな怒りの前に、鳩山内閣は退陣を余儀なくされました。鳩山内閣の副総理だった菅総理は、その政治のかじ取りに共同の責任を負っているのであります。ところが菅総理には、その自覚も反省もみられません。

 菅氏は民主党代表選の出馬会見で、普天間基地問題と「政治とカネ」について、「二つの重荷を総理自らが辞めることで取り除いていただいた」と言い放ちました。そして所信表明演説において、これと同様の認識を繰り返したのであります。前任者が辞めたことをもって、これだけ重大な問題を「一件落着」として水に流そうとする姿勢は、鳩山内閣を退陣させた国民の声を愚弄(ぐろう)するものだと言わねばなりません。

 国民に背を向ける菅内閣の姿勢は、この間の短期間の議論、論戦を通じても浮き彫りになっています。

「政治とカネ」 疑惑究明せず

 第一に、「政治とカネ」の問題です。

 代表質問でわが党は、菅総理に対し、民主党代表としてのリーダーシップを発揮し、小沢氏の証人喚問に応じるようただしました。しかし、菅総理は“民主党幹事長職を辞したことでケジメをつけた”“国会招致は国会が決めること”との答弁を繰り返すだけでした。鳩山内閣を含め、「政治とカネ」の疑惑究明に一切応じようとしない民主党政権の対応は、自民党政権時代と比べても異常なものです。

 菅氏はこれまで、「政治とカネ」の問題が起こったとき、時の総理に証人喚問の実施を求めてきたではないですか。手のひらを返したような態度をとる菅総理に「クリーンな政治」を語る資格はない、と言わねばなりません。

「普天間」問題 逆の方向向く

 第二に、普天間基地問題です。

 沖縄県名護市辺野古に巨大な新基地を建設する、米軍の訓練を徳之島はじめ全国各地に分散する、これが「移設先探し」の迷走・逆走のはてに、日米合意として鳩山内閣が残したものでした。自公政権時代の方針にUターンしたというだけでなく、より悪いものになったと言わざるをえません。ところが首相指名を受けた菅氏は、真っ先にオバマ米大統領と電話会談し、「県内移設」の日米合意について、「しっかり取り組んでいきたい」と誓約したのです。どこの国の総理か、と言いたい。

 この態度は、菅氏自らのこれまでの言明に照らしても筋が通らないものです。民主党の要職にあった菅氏は、海兵隊撤退論、「抑止力」否定の主張を繰り返してきました。なぜ自らの主張をひるがえしたのか、総理の本会議での答弁では、「心変わり」についてのまともな説明はありませんでした。

 「県内たらい回しは許さない」「移設先探しでなく基地撤去を」――この沖縄県民の声は、後戻りのない不動の総意であります。日米合意後に行われた琉球新報・毎日新聞の合同世論調査では、辺野古移設に反対が84%と圧倒的な声となっているのです。日米合意の撤回、無条件撤去しかありません。この声を米国政府にぶつけることこそ、日本政府がなすべき仕事ではありませんか。逆の方向を向く菅内閣の姿勢は、不信任に値するものだと言わなければなりません。

国民の暮らしと経済・財政でも

 第三に、国民生活と経済・財政の問題です。

 菅総理は「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を掲げましたが、誰にとっての「強さ」なのかが問われています。

 経済のあり方についてはどうか。大企業を強くすれば暮らしも経済もよくなるとした自民党流の経済政策の破たんは、今や明白です。労働者、中小零細企業に犠牲が押し付けられ、経済成長も止まりました。この大企業応援から国民生活応援の経済運営にかじを切るのかどうか、菅総理から明瞭な答弁はありませんでした。

 そればかりか、試金石の一つである労働者派遣法改正問題では、「製造業派遣、登録型派遣の原則禁止」を言いながら、政府案は抜け穴だらけのザル法になっています。わが党はその抜本修正を求めてきましたが、菅総理は「内容を変更する考えはない」と拒否したのであります。「人間らしい労働のルールを」との願いに背を向けるものです。

 社会保障はどうか。「強い社会保障」を掲げるなら、少なくとも自公政権がすすめた社会保障削減路線がもたらした「傷跡」を治すことに全力をあげるべきです。ところが、「傷跡」の象徴たる「後期高齢者医療制度」について菅総理は所信表明演説で一言も触れませんでした。民主党は政権についたとたん、「ただちに廃止」という公約を投げ捨て先延ばししました。そればかりか、「うばすて山」の入山年齢を75歳から65歳に引き下げる新制度まで検討する始末です。公約違反と国民への裏切りそのものです。

 財政のあり方についてはどうか。

 日本経団連の4月の「成長戦略」に掲げられた「法人税減税、消費税増税」という方向を、民主党の選挙政策に盛り込むことについても否定しませんでした。

 大企業減税の穴埋めに消費税増税という道は、財政再建にも社会保障財源にも役立たず、国民生活と日本経済を危機に導くものであり、わが党は断固反対するものです。

 以上、短期間で浮き出てきた菅政権の基本姿勢は、端的にいって、アメリカには忠誠を誓い、財界の求めに応えるものだといわざるを得ません。

 予算委員会論戦もやらず、ボロが出ないうちに選挙に逃げ込もうとする菅政権の姿勢は、党利党略以外のなにものでもないことを最後に厳しく指摘し、賛成討論を終わります。





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