2010年6月17日(木)「しんぶん赤旗」
原油流出事故
石油資本が被害補償
米大統領演説 化燃依存を脱却
【ワシントン=西村央】オバマ米大統領は15日夜、ルイジアナ州沖での原油流出事故の対策について、ホワイトハウス執務室で国民向けテレビ演説を行いました。汚染除去などの環境浄化策とともに、事故を起こした英メジャー(国際石油資本)BPに被害を補償する基金を創設させ、第三者機関が管理すると表明。世界の石油消費の20%を占めている米国が化石燃料依存からの脱却を急ぐことも強調しました。
大統領は、4月20日の原油採掘施設の爆発で11人が死亡し17人が負傷し、その後の原油流出は「米国史上最悪の環境災害となっている」と指摘。対策の第1として、現在4州にまたがって3万人が参加している原油除去や浄化作業に、さらに力を注いでいく方針を示しました。
第2に、「沿岸諸州が必要とする資金や援助を提供する」と表明。現地の視察結果を基に、流出した原油がすでに海岸線や野生生物などに深刻な影響を及ぼし、漁業者、沿岸のレストランが窮地に陥っていることを挙げました。これらの救済のため、被害原因をもたらしたBP会長と16日に会談し、補償のための基金創設を求めると述べました。
第3に、こうした大災害が二度と起こらないような道筋をつくることをあげ、海底油田開発の規制を強化すること、石油など化石燃料依存から脱却し、再生可能エネルギーへの転換を急ぐ決意を示しました。
大統領執務室からの演説は、国政の重要問題について国民に直接訴える際に行われます。オバマ大統領の就任後は初めてです。