2010年6月15日(火)「しんぶん赤旗」

独国防相「徴兵制廃止」

週刊誌上で意向を表明 波紋呼ぶ


 ドイツのグッテンベルク国防相が、徴兵制を見直し、「10年以内に廃止」すべきだと発言したことが波紋を呼んでいます。

 同国防相の発言は、13日に発売された政治週刊誌『シュピーゲル』最新号などが伝えたもの。ドイツ政府は、緊縮財政の中で兵士数を15%、4万人削減する方針を打ち出していますが、同誌でグッテンベルク氏は「緊縮に聖域はない」として兵士削減に積極的に応じる姿勢を明確にしました。また「少数で専門的、柔軟に出動できる軍には徴兵された新兵を訓練する余力は必要ない」と徴兵制廃止の意向を表明しました。

 別の週刊誌『フォーカス』によると、2011年1月から、新規の徴兵をやめることも検討されています。国防省は「何も具体的な計画は決まっていない」とコメントしました。

 一方、これに対し、保守与党、キリスト教民主同盟(CDU)のカウダー連邦議員団長は「徴兵制とわれわれの社会は緊密に結びついており、よく考える必要がある」と徴兵制廃止に慎重な態度を見せました。

 ドイツでは、18歳以上の男子は25歳までに兵役につくことが義務づけられています。兵役期間は、今年7月、現行の9カ月間から6カ月間に短縮されます。徴兵制は欧州では、フランス、イタリア、英国、オランダ、ベルギー、スペイン、ポルトガルですでに廃止。チェコなど旧東欧諸国でも欧州連合(EU)に加盟後、相次いで廃止されています。

 ドイツには、良心的兵役拒否者を含む兵役につかない青年は、代わりに兵役と同じ期間、病院や高齢者施設などでの社会奉仕に従事する非軍事役務制度があります。徴兵制が廃止されると、この制度もなくなることになり、青年を安価な労働力として利用していた病院社会福祉事業は大きな影響を受けます。(片岡正明)





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