2010年5月29日(土)「しんぶん赤旗」

国際協力で新秩序

米政権が新国家安保戦略


 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米政権は27日、同政権として初めて、安全保障問題を包括的にまとめた文書「国家安全保障戦略(NSS)」を発表しました。軍事力を「安全保障の要石」としながらも、“大量破壊兵器による脅威”を口実に「先制攻撃論」を唱えたブッシュ前政権から一転、国際協力で新しい国際秩序をめざすと表明。さらに米国経済の増強を安保政策上の中核に位置づけました。

 52ページからなるNSSは、「国際協力という潮流から背離しては、米国は成功できない」と指摘。暴力的過激主義、核拡散、気候変動、持続的成長などの「時代の課題」の解決にみあう新国際秩序を国際協力で構築するとしました。

 核開発を進める北朝鮮やイランについて、「彼らに進路を変える機会を与える」とし、それに応じなければ孤立の道は深まると警告。同時に「(米国の価値観を)力によって押し付けることはしない」として、他国の体制を軍事力で転換することは否定しました。

 新興国の台頭など、新しい国際環境をみすえ、新興国が国際通貨基金(IMF)などの国際機関で比重を高めることに改めて支持を表明。一方、米国の国際的影響力の源泉は経済だとして、教育、技術革新、社会保障分野に力を注ぎ、「国家を刷新し、地球的規模で指導性を発揮する戦略を追求する」としています。

 当面する脅威としては、核拡散を最優先課題に位置づけました。核不拡散条約(NPT)体制の強化を打ち出し、「核兵器のない世界」をめざすことも明記しました。

 アルカイダなどの国際テロ組織を掃討するとして、最前線はアフガニスタンとパキスタンだと強調。アフガンでの軍事作戦の強化方針を示しています。





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