2010年5月25日(火)「しんぶん赤旗」

チチハル遺棄毒ガス 不当判決

被害者の請求棄却

東京地裁


 2003年8月、中国黒竜江省チチハル市で、旧日本軍が終戦前後に遺棄した毒ガスの入ったドラム缶が掘り出され多数の住民が被毒した事件で、被害者と遺族48人が日本政府に総額約14億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、東京地裁でありました。山田俊雄裁判長は「(日本政府に)事故発生を未然に防止する義務があったとは認められない」として原告の請求を棄却しました。原告側は控訴する方針です。


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(写真)判決後の記者会見で「なぜ責任が問われないのか」と憤るチチハル事件の原告ら=24日、東京・司法記者クラブ

 判決は、問題の毒ガスは旧日本軍関係者によって遺棄されたものであり、日本政府は毒ガス兵器と付近住民が接触することにより、生命・身体に危害を及ぼすことを予見できたと指摘しました。

 しかし、判決は「毒ガス兵器は広範囲にわたって、川や古井戸に投棄されたり、地中に埋められたりしており、遺棄された可能性のある地域すべてを事故時までに調査することは極めて困難だった」と認定。「原告らの精神的・肉体的苦痛は極めて大きいものであったことは明らか」だとしつつ、日本政府に法的責任はないと結論付けました。

 原告側は、事故現場には戦時中、軍用飛行場に付設された弾薬庫があり、毒ガス兵器をあつかう部隊が駐屯していたと指摘。日本政府は現場を調査し、毒ガスを回収する義務があったと主張し、後遺症に対する医療保障や生活保障などを求めていました。





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