2010年5月16日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 11兆5686億円。といわれても、ピンときません。見たことも、さわったこともありませんから▼この金額は、トヨタ自動車が発表した3月末の利益剰余金です。内部留保の大きな部分を占めています▼こんな計算をしてみました。トヨタのピーク時の期間社員は約1万人。全員を年収500万円の正社員として採用した場合、11・5兆円超を使い切るには何年かかるでしょうか。230年を超えます▼赤字に転落し、「トヨタ・ショック」といわれたのは、ついこの間。早くも本業のもうけである営業利益は2年ぶりに黒字となりました。1475億円のもうけです。前年度と比べ、約6000億円も改善しています。大量のリコール(回収・無償修理)で売り上げも落ちたのが、うそのような回復です▼カラクリは、トヨタの“お家芸”ともいわれるコスト削減です。トヨタは決算書で、営業利益が増えた要因として「原価改善」「固定費削減」をあげ、あわせて9900億円増益したと誇っています。部品の調達コストや人件費などを大幅に抑え込んで、利益を増やしたということ。まさに、「乾いたタオルを絞る」やり方です▼利益をあげ、内部留保もたっぷり。だったら、労働者や中小企業に還元してほしいもの。株主には1株当たり年間45円、計1411億円を配当しています。トヨタ社長の豊田章男氏への配当は2億円を超える計算です。2億円だけでも、年収300万円の期間社員66人分です。還元する相手を間違えていませんか。





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