2010年5月12日(水)「しんぶん赤旗」

待機児童や保育問題解決へ(下)

日本共産党の緊急提言

安心して預けられる保育所に

保育士の労働条件改善も


広井暢子女性委員会責任者に聞く

保護者の保育料負担軽減措置を

 ―保育所をつくるだけでなく、保育条件の向上が強調されていますね。

 政策のもう一つの柱が、安心して預けられる保育所、保育環境や保育士の労働条件改善問題です。「規制緩和」で定員を超えた詰め込み、保育士の非正規化が常態化しています。「規制緩和」の流れを切り替え、認可保育所をつくり定員超過を計画的に解消すること、国の最低基準をなくすのではなく、改善・向上こそ必要です。子どもの発達にかかわる専門職である保育士は正規にする、長時間労働の軽減や労働条件の改善のために、保育士の配置基準の見直しをすすめます。

 さらに、保育料が払えずに滞納したり、保育所をやめる子どもの例も各地から報告されています。国の保育料徴収基準では、例えば1人の年収が200万円程度の共働き夫婦で月4万4500円(3歳未満)の保育料という設定です。この基準を国が自治体に押し付けるなか、多くの自治体が独自の軽減措置をとっています。この間減らしてきた保育所運営費の国負担分を増やし、保護者の保育料負担軽減措置を提案しています。認可外保育所の父母への保育料負担の軽減も必要です。

 保育所には子育て相談や一時預かりなど、地域の子育てのセンターとしての役割があります。それに見合う経費や人的配置の保障、制度の充実が必要です。

制度改悪でなく拡充こそ必要

 ―民主党政権の保育政策の動きをきびしく批判していますが。

 自公政権が審議会などで、保育制度の大本からの改変を進めてきたなかで、新しい政権や民主党議員への期待感もあったと思います。

 ところが、この9カ月、最低基準をはずして自治体にまかせる、給食の外部委託を行い、さらに、私立保育所の国庫負担金の一般財源化をいいだす。 「子ども・子育て新システム検討会議」では、「幼稚園・保育所の垣根を取り払い、新たな指針に基づき」、こども園(仮称)に一体化するという方向を明らかにしました。

 新自由主義の規制緩和路線で財政効率優先、市場開放ありきで、部分ではなく新システムをつくって一気に制度改悪をはかろうとするものです。子ども手当もそうですが、主権者国民の願いを知ろうとしないこの党の傲慢(ごうまん)さに憤りを覚えます。保育制度改悪をなんとしてもやめさせるために力を尽くす決意です。

 保育保障を国と自治体の責任で支える公的制度である現行の保育制度を拡充してこそ、希望するすべての子どもに保育保障をすることはできるのです。

財源は十分ある運動を広げよう

 ―財源の裏づけも提起し、国民的運動をよびかけていますね。

 私たちは“財源は十分ある”、問題は保育に回すかどうかだということを強調しています。保育所新増設年間10万人というのは、毎年新規入所する子どもと待機児童をあわせた数にあたります。建設に1400億円、保育士の待遇改善や保育料の保護者負担の軽減などを試算しても総額4000億円程度でできます。

 年間5兆円の軍事費の一部でも、また来年度からの子ども手当総額5兆円から回すことでもできます。

 1970年代のような保育所をつくる国民的運動で保育要求を広く組織する、そうしてこそ保育制度を守り充実させていくたしかな力になります。21世紀にだれもが仕事も子育てもできる社会にむかって、頑張るときだと思います。

グラフ

18日に日本共産党保育シンポジウム

 日本共産党保育シンポジウム「待機児童問題の解決と保育のいま、これからを考える」 18日(火)開場午後6時、開会6時半、主婦会館プラザエフ7階(東京・JR四ツ谷駅麹町口1分) パネリスト・小池晃(参議院議員・党政策委員長)、村山祐一(帝京大学教授)、岡田尚子(東京都稲城市・保護者)、松尾ユミ(東京・青梅ゆりかご保育園園長)。問い合わせは日本共産党女性委員会 電話03(5474)8441





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