2010年4月27日(火)「しんぶん赤旗」

IMF・世銀 途上国の比率増加

中国の議決権3位に

米国の拒否権は維持


 【ワシントン=小林俊哉】ワシントンで開かれていた国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合が25日、閉幕しました。同日行われた合同開発委員会では、世銀グループのうち最大の開発資金融資機関である国際復興開発銀行(IBRD)の議決権について、途上国が占める比率を3・13ポイント上昇させることを承認しました。


 これにより、中国の議決権比率は2・77%から4・42%に一挙に増加し、米国の15・85%(変化なし)、日本の6・84%(0・78ポイント減)に次ぐ3位となります。

 また、欧州諸国の比率は、ドイツの4%(0・35ポイント減)、イギリスの3・75%(0・42ポイント減)、フランスの3・75%(0・42ポイント減)など、中国より下位になります。

 全体として、先進国の議決権比率は52・81%、途上国が47・19%となります。

 ただ、重要事項の議決には投票権で85%以上の賛成が必要で、15%超の比率を維持した米国が事実上の拒否権を持ち続けることになります。

 世銀の議決権をめぐっては、2009年10月にイスタンブールで開かれた同委員会で、途上国の議決権比率を3ポイント以上増やすことを決議。今回の決定が、その具体化となります。

 世銀のゼーリック総裁は同日の記者会見で、「国際経済が多極化しているのだから、国際機関もそれに合わせて移行しなければならない」と述べ、途上国の台頭を世銀の運営に反映させることの重要性を改めて強調しました。

 また、同日の合同開発委員会では、中国などの新興国の意見を反映して、貧困対策向けとして16億ドルを関係機関に追加支出することも決めました。世銀には186カ国が加盟。今回の議決権比率見直しに伴い、新興国・途上国は出資比率を増やすことになります。進行状況を15年に見直すとしています。


世界銀行の新たな投票権比率

順位  国 名  投票権比率

1(1) 米国 15.85(15.85)

2(2) 日本  6.84( 7.62)

3(6) 中国  4.42( 2.77)

4(3) ドイツ 4.00( 4.35)

5(4) 英国  3.75( 4.17)

5(4)フランス 3.75( 4.17)

(注)投票権比率の単位は%。カッコ内は今回の投票権改革前





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