2010年4月19日(月)「しんぶん赤旗」

国民投票法施行日(5月18日)前に

改憲派が動く

審査会始動狙う、「推進大会」も予定


 5月18日に改憲手続き法に基づく改憲のための国民投票法の「施行期日」が訪れるのを前に、改憲策動が強まっています。

 改憲派の「新憲法制定議員同盟」が28日に「新しい憲法を制定する推進大会」を開くのをはじめ、憲法記念日や5月18日の「施行期日」を目指して、改憲への機運を盛り上げようと躍起です。自民党憲法改正推進本部では、「5月18日には大きなイベントを開催する」という意向が党役員から出されています。

「規程議決急げ」

 こうしたなか、民主党の西岡武夫参院議院運営委員長が15日の同委員会理事会で、改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会の規程がいまだに議決されていないことについて、「非常に遺憾だ。責任を感じている」と述べたことが注目されました。自民党は、「タイムリミットギリギリだ」などとして制定の期限を設定するよう求めたのに対し、民主党は回答を留保しました。

 2007年5月に自公両党によって強行された改憲手続き法(同月に公布)に基づいて、同年8月に衆参各院に改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会が設置されましたが、いまだに始動できていません。

 衆院では同審査会規程が昨年6月に議決されましたが、委員の選任はされておらず、参院では規程の議決もされていません。

 西岡氏が、規程の議決を急ぐよう指示したのは、改憲のための国民投票の「施行期日」が迫っているからです。

 しかし、国民投票法の施行のためには、同法公布以降の3年間で、「18歳以上」とされた投票年齢や公務員法の政治活動禁止をめぐる「必要な法制上の措置」を講ずることが義務付けられています。ところが審査会の始動不能に象徴されるように、その議論は全く進んでいません。「法律の想定しない事態」であり、このままでは同法の施行はできないはずです。

なし崩し施行も

 それにもかかわらず鳩山内閣は、なし崩しで5月18日に同法を施行する姿勢です。鳩山内閣で法令解釈担当相を兼任する枝野幸男行政刷新担当相は、「法整備が進まないまま同法を施行できるのか」という質問に「純粋法理論のうえで施行できるかどうかという議論に意味はない」などとして、事実上なし崩し施行を容認する姿勢を示しています(15日)。総務省は法施行を前提に関係政令の準備を進めています。

 同法が施行されるまでの間、改憲原案の審査権限は凍結されています(同法付則4条)。施行が強行されれば、改憲原案を国会・憲法審査会に提出し、正式に審議することも可能になります。もちろん、仮に法律が施行されても、投票年齢や公務員法の整備が進まない状態では、「改憲発議・国民投票」ができないと解釈されるべきですが、そうした議論は全く出されていません。

 西岡氏の発言は、同法の施行を進め、憲法審査会始動を急ぐ姿勢を明確にしたもので重大です。

日弁連会長危ぐ

 日本弁護士連合会の新会長に就任した宇都宮健児氏は、法整備が進まないままでの国民投票法施行に反対し、「施行延期」を求める「声明」(14日付)を発表しました。強引な国民投票法の施行に反対し、改憲策動を打ち破る世論の広がりが求められます。(中祖寅一)





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