2010年4月18日(日)「しんぶん赤旗」
冤罪生む危険見て
日弁連 時効廃止反対で集会
日本弁護士連合会は16日、「公訴時効」廃止に反対する緊急集会を都内で開き、多くの法律家や市民らが参加しました。
刑事事件の発生から一定の期間で訴追ができなくなる「公訴時効」制度を、重大事件について廃止したり、時効完成までの期間を延長したりする刑法・刑事訴訟法改定案の参院通過を受け、これに反対する立場から開いたものです。
日弁連刑事法制委員会の神洋明委員長は「私たちは、まちがっても被疑者・被告人が冤罪(えんざい)にまきこまれてはならないという立場から時効廃止に反対してきた。参院ではわずか2週間の審議で、共産党以外のすべての政党の賛成で拙速に法案が通り、急ピッチに動いている。広く訴えていきたい」とあいさつしました。
三島聡大阪市立大学教授は、問題提起で「『逃げ得を許すな』という主張は分かりやすいが、時効が保護しようとするものは『見えにくい利益』だ。これを顕在化させ、議論に反映させるうえで、法律家の責任は重い」とのべました。
三島氏、神氏、中日新聞論説委員の桐山桂一氏によるパネルディスカッションでは、「遺族の中には『時効が気持ちの区切りになる』という人もおり、被害者も一概に時効廃止の意見ばかりではないことをおさえておくべきだ」(桐山氏)、「凶悪事件での9割以上の犯人検挙は、事件発生から2〜3年中だ。時効を廃止しても、被害者が望むような捜査になるとは限らない」(神氏)などの発言がありました。