2010年4月2日(金)「しんぶん赤旗」

米軍 6月大攻撃か

アフガン南部カンダハル州


 【ワシントン=小林俊哉】米ワシントン・ポスト紙は31日付で、米軍がアフガニスタン南部のカンダハル州で反政府勢力タリバンへの大規模掃討作戦を今年6月にも予定していると報じました。

 同紙は、米軍高官の話として、米軍は現在、同州の地域指導者や部族の長老などに腐敗一掃とタリバン追放などを要求していると報道。それができない場合、カンダハル市を含め、掃討作戦が行われると伝えています。

 アフガン訪問中の米制服組トップ、マレン統合参謀本部議長も、タリバンの牙城とされるカンダハルを「重心」と呼んで、戦略上の中心課題に位置づけています。大都市部での掃討作戦で、多数の犠牲者が出ることが予想されます。

 3万人の米軍再増派で、軍事作戦を強めるオバマ政権ですが、同時並行ですすめるとした政治解決の模索はすすんでいません。米ニューヨーク・タイムズ紙(29日付)は、カルザイ・アフガン大統領が「米軍は、アフガンを支配しようとして駐留している。タリバンとの和平交渉を妨害しているのも米軍だ」と強い不信感を表明したと報じています。

 同紙によると、カルザイ氏は3月中に米国を訪問するよう招待されていたものの、腐敗一掃の努力が足りないことなどを理由に、米側が一方的に招待を取り消しました。これに怒ったカルザイ氏は、イランのアハマディネジャド大統領を同国に招待し、米国批判で歩調を合わせました。

 28日にオバマ氏がアフガンを電撃訪問し、カルザイ氏と会談したのも、関係修復への模索の一環とみられます。しかし、肝心の政治解決へ向けた展望は不透明なままです。





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